「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
以前のジェシーのように治癒魔法後に倒れてしまわないか心配しているのだろうか?あの時はジェシーの姿に変身するために、多くの魔力を使用してしまったため、魔力量がいつもより少なかった。それに初めて使う治癒魔法だったこともあり、魔力を使いすぎてしまったんだ。
しかし今は変身していないため、魔力量は十分にある。よほどのことが無い限り、倒れることは無いだろう。私は魔力量が多いことを騎士団長様に説明をして、冒険者たちの横たわる場所で膝をついた。それから祈るように手を組み、治癒魔法を発動させる。歌うように祈るように優しく治癒魔法を発動させると、ジェシカの体から暖かな光が溢れ出した。それが冒険者たちの体へと移り、光で包まれていく。すると、冒険者たちの傷は癒え、乱れていた呼吸が一定の速度になっていく。それを見ていた騎士様たちが「奇跡だ……」「聖女様だ」と口々にほめそやす。
それは奇跡の瞬間だった。
皆は目を奪われ、ジェシーの姿を目に焼き付けるように凝視した。
ジェシカが治癒を終わらせると、ジェシカを包む光も消えていく。ゆっくりと祈るように組んでいた手をほどくと、冒険者たちに声を掛けた。
「大丈夫ですか?痛むところはありますか?」
ジェシカの問いに、横になっていた冒険者たちは起き上がりながらお礼を言った。
「どこも痛くはありません」
「私も大丈夫です」
冒険者二人がそう答え、他の3人も頷いて見せた。