「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい
愛を知った魔王
 

 ***

 それから数日後。

 なぜか私は騎士団のテントが張られた森にいた。

「ジェシカちゃん、これ食べてみて」

「こっちのスープもどうぞ」

 騎士様たちに手渡されたのは、森でとれた野鳥を香草で焼いたものと、具沢山のスープだ。

 私は魔王の敵?である騎士団の騎士様たちに囲まれて食事をしている。

 どうしてこのような状況になったのかというと、それは数日前の冒険者を助けた日に遡る。

 冒険者を町まで送り届け、森に帰ろうとしたところで、ジュウド様に呼び止められた。

「ジェシカ今日はありがとう。助かった。ジェシカの治癒魔法がなかったら、俺たちは冒険者たちを救うことは出来なかっただろう。感謝する」

 そう言って、ジュウド様が頭を下げて来た。それにならって、部下である騎士様たちが騎士の礼をとった。

 国を守る騎士様たちが自分なんかに頭を下げている。

 その姿にジェシカは慌てた。

「やっ……やめてください。私は出来ることをしただけなんです。感謝だなんて……」

 照れくさくて、もじもじとしていると、周りから「いじらしい」「かわいいと」声が聞こえてきて、余計に照れてしまう。

 そんな私の頭をジュウド様が大きな手で撫でてくれた。

「本当にありがとうな」

 ジュウド様が太陽のように笑った。その笑顔がとても眩しくて、私は目を細めた。この人は本当に素敵な人だ。私なんかに頭を下げてくれる。敬意を払ってくれる。とてもやさしい人。

 また胸の奥が温かくなった。




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