「魔王の定義」魔王になる運命の私は、その運命にあらがいたい


 *

 私は森にある騎士団のテントへと時々行くようになっていた。その時にはお土産として、傷薬やポーションなど役に立つ物の他に、焼き菓子なども持って行った。以外にも甘いものは騎士様たちに好評で喜んでもらっている。今日もせっせとポーション作りに精を出していた。

「後は魔力を込めて……」

 ゆっくりと魔力を込めながら薬を混ぜ込むとポーションが完成した。それを瓶に詰め替えて全ての作業は終了だ。使用した鍋や、残った薬草などを片付けていると、人の気配を察知した。

「1人……2人……10人?まだいる?」

 何かを探しているのか、森の中を歩き回っている様子だ。

 いつものように騎士団が私(魔王)を探しているのとは動きが違う。ばらばらとした動きには統率がとれておらず、ただ動き回っているといった感じがする。

 冒険者が魔獣を狙っているのとも違う感じだし……一体何がしたいんだろうか?

「リト、首輪はつけているわよね?」

 リトはこくりと頷くと、扉を出て行った。

 リトは魔法石で出来た特別な首輪をしている。これはリトが見ているものを見ることが出来る魔道具だった。目を閉じてゆっくりと意識を集中させると、走るリトの視線に入った。しばらくして走っていたリトがその速度を緩めると、視界に人の姿が映し出された。

 白い装いに十字のネックレスに刺繍……あれは聖教会の人間が身に着けるものだったはずだ。

 なぜ聖教会の人間がこんなところに?

 更に意識をリトの視線に集中させていると、現時点より森の奥に入った場所に数人の気配を感じた。



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