シトラスの魔法が解けるまで
独白のシトラス
この一年間、私は一秒たりとも彼のことを忘れたことはなかった。
廊下で見かけるたびに、背中を追った。声が聞こえるたびに、耳を澄ませた。
シトラスの香りが鼻をかすめるだけで、泣きそうになるくらい、私は彼のことばかりを想って、彼中心の世界を生きてきた。
それなのに。
彼は、怒ってすらいなかった。
『怒ってくれていた方が、まだマシだったのかもしれない。嫌われていた方が、彼の記憶の中に「私」という存在が刻まれていた証拠になるから。今の私は、彼にとって、ただの景色の一つに過ぎないんだ』
スマホを握る指に力がこもる。
画面に映る文字が、涙で少しだけ滲んだ。
「……私ばっかり。私ばっかり、こんなに好きなのに」
廊下で見かけるたびに、背中を追った。声が聞こえるたびに、耳を澄ませた。
シトラスの香りが鼻をかすめるだけで、泣きそうになるくらい、私は彼のことばかりを想って、彼中心の世界を生きてきた。
それなのに。
彼は、怒ってすらいなかった。
『怒ってくれていた方が、まだマシだったのかもしれない。嫌われていた方が、彼の記憶の中に「私」という存在が刻まれていた証拠になるから。今の私は、彼にとって、ただの景色の一つに過ぎないんだ』
スマホを握る指に力がこもる。
画面に映る文字が、涙で少しだけ滲んだ。
「……私ばっかり。私ばっかり、こんなに好きなのに」