初恋の相手と運命の再会を果たしたら、イケメン社長になっていて溺愛されています
「自分で言うのも恥ずかしいけど、過去の私、なかなか良いことを言うね。きっと峯さんだけのせいにする社内の空気が許せなかったんだと思う。誰しもミスする時はミスをするのに、なんで誰かのせいにするんだろうって。しかも新人の峯さんに…」

あの後、たまたま席を外していて、遅れて事の状況を把握した部長に、他の社員達は叱られていた。新人のミスをフォローしないで、社内の空気を悪くして、何をしているんだ…と。
叱られた社員達は初めて自分達の失態に気づき、峯さんに謝罪していた。
峯さんはその場で他の社員達を許していたが、本当はずっと心の中で覚えていているくらい、心に傷を負っていたのであろう。
いつも笑顔でいる峯さんの笑顔の裏には、過去に負った傷を見せないように強く立ち振るまう姿があった。
そんな峯さんの姿に、私の目から涙が溢れ落ちそうになったが、グッと堪えた。今私が涙を流したら余計な心配をさせるだけなので、それだけは避けたかった。

「今思えば鈴木さんのその気持ちがよく分かります。新人のミスを見て見ぬふりして、自分達は何も悪くありませんっていう社内の空気は良くないですもん」

仕事において、誰かのせいにして、見て見ぬふりをするのは人としても、社内の雰囲気としてもよろしいものではない。
誰だってミスをするのだから、助け合いの精神が時には必要で。そういった雰囲気が社内の空気をより良い方向へと導いてくれる。

「峯さんがあの時、私を救ってくれたから、今もこうして同じ職場で働き続けることができているんです。本当にありがとうございます」

峯さんが私に向かって頭を下げた。私の何気ない行動が、峯さんにとってはずっと心の支えだった。
これまで峯さんが私に抱いてきた恩を伝えてもらい、私は嬉しかった。
それと同時に私の方がたくさん峯さんにお世話になったので、改めて峯さんに感謝の気持ちを伝えたいと思った。

「峯さん、頭を上げて。私に恩を感じて、ずっと大切にしてくれてありがとう。そして今、私のことを救ってくれてありがとう」

因果応報という言葉がある。人は善い行いをすれば善い行いで返ってきて、逆に悪い行いをすれば悪い行いとして返ってくる。
見返りを求めてしたわけではないが、私がこれまでした行いは結果として峯さんにとって善い行いだったんだと思う。
それがこういった形で返ってきて、改めて自分の行いが善い行いであったことを自覚した。

「いえいえ。だからこそ、今回のこと…許せません」

話はお見合い相手の女性へと戻った。すっかり忘れていたが、思い出した途端、私の胸の奥はざわついた。

「怖い…。あの人、絶対に諦めてくれそうになかった…」

「そんなに強い感じの女性だったんですか?」

「うん。自分に自信がある感じだった」

「それは手強いですね。一番敵に回したくないタイプの女性です」

峯さんから見ても敵わない相手だと悟ったみたいだ。
敵に回したくない相手と対峙しなくてはならないようで。
そんな相手とこれから対峙しなくてはならないのかと思うと頭が痛い。
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