利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
「今月は、雪乃の誕生日だったな」

 夕飯を食べ終えてふたりそろってソファーでくつろいでいたとき、雅樹さんが唐突に言う。

「そうだけど?」

「盛大にお祝いをしないとな」

「簡単にケーキを食べるくらいでいいよ」

 密かに歓喜しながら、それでも彼の手を煩わせるのはとためらって遠慮がちに提案する。

「いいや。日頃のお礼も兼ねる予定だから。俺に任せてほしい」

 私の方こそ、彼にはお世話になってばかりだというのに。

「ところで、なんで五月生まれなのに名前に〝雪〟が入ってるんだ?」

 もっともな疑問に、ああとうなずいた。

「母は北海道の実家に帰省して私を産んだんです。もう五月だというのに、生まれる少し前に雪が降ってきて」

 これは祖母から何度も聞いた話だ。

「それで私の名前に〝雪〟の字を入れたんです」

 なるほどと、彼がうなずく。彼が私に興味を持ってくれるだけで心が弾んだ。

「いい名前だな」

「ありがとう」

 自分も名前は気に入っているが、彼がそう言ってくれるとますます良いもののように思えてくる。

「それで、週末の予定は空いてる?」

 大丈夫だとうなずく。

「決まりだな。楽しみにしていて」




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