利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
 試着をして、雅樹さんの前に出る。

 早くなにか言ってほしいのに、彼は私じっと見つめたまま。だんだん気恥ずかしくなってきた。

「ど、どう?」

 焦れてこちらから声をかける。
 ハッとした雅樹さんは、それから表情をふっと緩めた。

「よく似合っている。すごく綺麗だ」

 自分から尋ねたというのに、直球すぎる褒め言葉にたじたじになる。これだっておそらく相手が私でなくても言えてしまうのだろうと思うと、チクリと胸が痛んだ。

「ほかのもいいが、俺は今着ている者が一番、雪乃を綺麗に見せると思う」

 もう少し控えめな表現でお願いしたいという本音を隠して、鏡に映る自分を見つめる。

 私としても、用意してもらった中でもっとも気に入ったものだ。顔色が明るく見えるし、首回りが少し開いているおかげですっきりとしている。

「私も、これが一番好き」

「決まりだな」

 それから彼は、さらに靴やコートまで選んでいく。その表情は、なんだか楽しそうだ。

 でもさすがに買い過ぎだと、遠慮がちに彼の腕に手をかけた。

「妻を着飾る楽しみを、取り上げないでくれ」

 おどけた調子で言われたというのに、瞬時に頬が熱くなる。彼はこんな冗談も言えるのかと、新しく発見した気分だ。

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