利害一致の同情婚 ~カタブツ航空自衛官は契約妻を溺愛する~
「ほら、あなたに代わって用意しておいてあげたわよ」
自身のバッグの中から取り出したのは、まっさらな離婚届だ。
「さっさと書いてちょうだい」
「……できません」
小さく反論した私に、西崎さんが目をすっと細める。彼女を刺激したくないけれど、理不尽に責められるこの状況が許せなかった。
「なんですって」
「ですから、離婚なんてできません」
鋭い視線は怒りが滲み、手に力が入りすぎて離婚届にしわが寄る。
「勝手なことばかり、言わないでください。私も雅樹さんも、迷惑しているんです」
追い詰められていくこの状況に、職場を追われたときの理不尽さが思い起こされる。
刺激しないようにと考えていたはずなのに、あまりにも身勝手な彼女につい言い返してしまった。
ここまで思い込みが激しいと、私の言葉はまったく伝わらないかもしれない。
それでも、命がけの任務に就く雅樹さんに負担をかけないでほしい一心で訴えた。
「なんですって」
さらに私に近づいた西崎さんが、右腕を大きく振りかぶる。
ぶたれると察し、ぎゅっと瞼を閉じた。
けれど、いつまでたっても衝撃は訪れない。
「なっ」
西崎さんの戸惑う様子が伝わり、なにがあったのかとそろっと目を開ける。
振り上げた彼女の手は、背後から雅樹さんが掴んで止めていた。
執着する相手の登場にパッと表情を綻ばせた西崎さんだったが、自分に向けられた雅樹さんの険しい表情に戸惑いを見せる。
「雅樹?」
西崎さんの呼びかけに、彼はいっさい反応をしない。
「大丈夫か、雪乃」
「う、うん」
「雪乃、ですって?」
自雅樹さんが私の名前を口にした途端に、彼女が怒りに顔を赤くした。
自身のバッグの中から取り出したのは、まっさらな離婚届だ。
「さっさと書いてちょうだい」
「……できません」
小さく反論した私に、西崎さんが目をすっと細める。彼女を刺激したくないけれど、理不尽に責められるこの状況が許せなかった。
「なんですって」
「ですから、離婚なんてできません」
鋭い視線は怒りが滲み、手に力が入りすぎて離婚届にしわが寄る。
「勝手なことばかり、言わないでください。私も雅樹さんも、迷惑しているんです」
追い詰められていくこの状況に、職場を追われたときの理不尽さが思い起こされる。
刺激しないようにと考えていたはずなのに、あまりにも身勝手な彼女につい言い返してしまった。
ここまで思い込みが激しいと、私の言葉はまったく伝わらないかもしれない。
それでも、命がけの任務に就く雅樹さんに負担をかけないでほしい一心で訴えた。
「なんですって」
さらに私に近づいた西崎さんが、右腕を大きく振りかぶる。
ぶたれると察し、ぎゅっと瞼を閉じた。
けれど、いつまでたっても衝撃は訪れない。
「なっ」
西崎さんの戸惑う様子が伝わり、なにがあったのかとそろっと目を開ける。
振り上げた彼女の手は、背後から雅樹さんが掴んで止めていた。
執着する相手の登場にパッと表情を綻ばせた西崎さんだったが、自分に向けられた雅樹さんの険しい表情に戸惑いを見せる。
「雅樹?」
西崎さんの呼びかけに、彼はいっさい反応をしない。
「大丈夫か、雪乃」
「う、うん」
「雪乃、ですって?」
自雅樹さんが私の名前を口にした途端に、彼女が怒りに顔を赤くした。