欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる

7時が来ると今年の当番の家で食事を取る。

お神輿を一旦降ろし、みんな朝食を食べていくが、担ぎ手は昔は酒を飲みながら回っていたが、今は飲酒は禁止になっている。

聖司は幸成の隣に座った。

「お前さぁ、10年も連絡つかずで何してたんだよ、父ちゃんから幸成が帰って来たと聞いてびっくりしたぜ」

「悪い、上京してから番号変えたんだよ」

「それでもさ、俺には連絡つくだろ?親が知り合いなんだし、もうみんな俺に幸成は?って聞いてくるしさ」

「まあ、そうだろうな(笑)」

「笑い事じゃねぇ、全く何を考えてるんだ、どれたけ心配したか…」

「まあ、今日の夜に話そうぜ」

「ん…連絡先くらい教えろよな、幼なじみで親友だろ?俺だけか、そう思ってたのは」

「悪かったって、ちゃんと話すから」



ピピーっと笛が鳴り、食事の時間は終わり再びお神輿を担いで各家を回っていく。



海の方の地区の梨花子も公民館で食事を出していた。

梨花子達の地区は食事は公民館でとるように昔から決まっている。

朝からたくさんのおにぎりと味噌汁を作った。

カレーは昼ご飯でおでんは晩御飯だ。


「恵那ちゃんは?」

梨花子がお味噌汁を配膳していると地域のおばちゃんが恵那ちゃんのお母さんに尋ねていた。

「今年は彼氏の地区の祭りに行くんだって」

「あらあら、結婚でも近いのかい?」

「まだそういう話は出てないようだけどねぇ」

結婚か…恵那ちゃんも結婚が近いのかな、前は彼氏がいても、お祭りにはこっちを優先してたのに…

「姉ちゃん、俺も味噌汁」

「怜士(れいじ)」

「朝イチの飛行機取れたから帰ってきた(笑)」

「そう、朝ごはん食べる?」

「食べる!」

梨花子は母親の所に怜士を連れていった。

母親から白い法被を渡され着替えて担ぎ手に合流する。

最近仕事が忙しくて残業続きだから金曜日の仕事次第で帰るか決めると弟の怜士からは家族に連絡は入ってきていた。

梨花子とは3つ違いでやはり若い力は必要な地区である。

昔から公民館で色んな行事があった梨花子達の地区は年の離れた人とでも気軽に話すことが出来る。

怜士も近所のおじさんと既に話が盛り上がっている。
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