欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
お昼ご飯を終えるとかきくらべのスーパーの駐車場までお神輿を担ぎながらみんなで歩いて行く。
梨花子も母親と一緒にお神輿の後ろから歩いて行くのだ。
公民館にはもう歩くのがしんどいお年寄りが留守番をしてくれている。
途中で休憩も挟み40分かけて駐車場に到着。
全部で6つの地区のお神輿が毎年集まり、梨花子達の地区は一番に到着した。
お神輿を降ろして他の地区を待っていると、次々と集まって来て、最後は紺色の法被を着ている集団がやって来た。
幸成の地区だ。
「ワッショイ、ワッショイ」
威勢のいい掛け声が聞こえる。
笛の合図でゆっくりとお神輿を降ろした。
「きっつっ!」
山から坂道を降りてくるのは結構膝にくる。
みんなそれぞれ体をほぐしていた。
かきくらべまであと20分…
幸成の姿を見つけると次々と人が集まって来た。
「幸成、帰ってきたのか?」
「久しぶりだな、姿消しやがって」
「10年振りだな」
「先頭に幸成がいるからびっくりしたぜ」
お祭りに担ぎ手として参加していた各地区の知り合いが幸成が先頭にいたのでかけつけたのだ。
その集団を梨花子は見ていた。
相変わらず人気者だなぁ…
どうして、みんなと連絡を絶ってたんだろう。
別に仲が悪い人がいる噂も聞いた事なかったのに…
各陣営の笛が鳴り、幸成の周りの人達は自分の地区に戻っていった。
幸成もお神輿の上に上がる。
笛を吹き、みんなの足並みを揃えて、6体のお神輿が並んだ。
しばらく6体で駐車場を周り、バラけると一体ずつ、中央で掛け声をかけながらみんなの声を合わせて肩の位置から1度床にバウンドさせて、お神輿を真上に上げ、担ぎ手の頭の上で支えるのだ。
その合図をするのがお神輿に乗る人
毎年順番は回って行き、今年の最後は幸成の地区だった。
梨花子の地区は終わり、怜士は梨花子の隣に立っていた。
「幸成さんじゃん」
「うん、今年帰ってきたみたいよ」
怜士は3つ下だから中学ではかぶっていなかったが、2人ともサッカー部で人数が少ない部員の相手を先輩がよく教えに来ていた事は怜士から聞いていた。
「幸成さんて、めっちゃ上手いんだ」と怜士は嬉しそうに話していたのを憶えている。
ピピーっと幸成が笛を吹くと
「ワン、ツーのセー!!」
とお神輿が浮いた。
担ぎ手が上で支えると大きな拍手が鳴り響いた。