欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
秋祭り

秋祭りが始まった。

金曜日の仕事終わりに既に公民館で炊き出しをしている母親と合流。

カレーとおでんを大量に作った。

後は明日の朝早くから集合だ。

お風呂から出て、部屋でスマホを見ると仙道くんからLINEが来ていた。

久しぶりだなぁ…私が連絡しないからか(笑)

明日の神輿のかきくらべ見に来る?と書いてあった。

炊き出しのお手伝いがあるから時間は分からないけど見に行くよと返事をすると
神輿の上に乗るから見ててなと言うことだった。

基本お神輿の上には乗らないのが多いらしいが梨花子の田舎ではかきくらべの時のみ合図をする役として許されている。

結構重要な役割なのにベテランさんがいるんじゃないのかなぁと思いながら頑張ってと返信をしておいた。

明日の朝は早い。

梨花子はベッドに入り眠りについた。


一方幸成の方も久しぶりに梨花子にLINEを送り、少しの緊張と、返信がすぐに返ってきた事にホッとしていた。

何回も電話をかけようと思ったが…

何度か朝のユキちゃんの散歩の時間に幸成は離れて見ていた。

ユキちゃんのペースでゆっくり歩く梨花子の姿を何度か見かけ、ある日ユキちゃんを連れていなくて、一人で海を見ながら立っていた姿を見た。

その日から朝に見かける事はなく幸成は悟り、連絡もしていなかった。

笹本の辛い時に一緒にいてやれなかった。


お祭りは地域を上げての行事だから笹本も参加するだろうと思いLINEを久しぶりにしてみた。

かきくらべで会える…

きっと話すことは出来ないと思うが、今年から帰省して、神輿の上に乗れるとは思わなかった。

この10年で、人口の減少と高齢化を祭りの準備で集まる度に理解出来た。

さて、祭りが終わったらそろそろ俺も始動かな…

幸成はスマホのタイマーを4時にセットして眠りについた。


秋祭り当日幸成達の市町村は5時に各神社で宮出しが始まった。

幸成達の地区は法被の色は紺色で襟の部分には地区の名前が書かれてある。

会長の笛の合図でみんなで神輿を担ぎ、神社の階段を降りて地区を回っていく。

幸成は1番前で肩に担ぎ、声をかけていくのだ。

「幸成か?」

「おっ、遅刻かよ(笑)聖司(せいじ)」

幼なじみの大澤聖司(おおさわせいじ)が走ってやって来た。

「昨日の夜行バスで帰って来たんだ、少しくらい寝かせろ(笑)」

「後ろ頼むな(笑)」

聖司は後ろに回り神輿を担いだ。
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