欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
二人での食事
席に座ると幸成はビールを、梨花子は柚子ジュースを注文した。
タッチパネルでお互いに食べたいものを注文して、乾杯をする。
「お祭り…凄かったね、まだ若いのに上に乗って」
「まあ、それだけ若い奴がいないって事だよ」
「でも、大澤くんは毎年お祭りには戻って来てたけど、仙道くんはずっと消息不明だったじゃない?なのに上を任されるなんて…」
「祭り前の集まりに出たからだよ、当日だけの奴は準備が出来ないだろ?」
「あー、そっか、でも仙道くんはもう東京には行かないの?」
「たまには行くけど、拠点はこっち」
「どうして戻って来たの?あんな車を買えるくらい生活には困ってなかったんでしょ?」
「あの車は男の夢だな(笑)笹本にはわかんないだろうな」
「うん、わかんないわ」
梨花子はジュースを飲み干すと次の飲み物を頼み、幸成の飲み物もついでに頼んだ。
「笹本は今は男いんの?」
「ん?男?どういう事?」
「付き合ってる奴はいんのか?って事」
そう言うと幸成は2杯目のビールをゴクゴクと口にした。
「…それは仙道くんに言わなきゃダメなの?」
「うん、知りたい」
「どうして?」
「どうしてって…笹本と付き合いたいと思ってるからさ」
ごくんと梨花子の喉に注文したばかりのオレンジジュースが流れ、びっくりした梨花子は「ゴホン」と咳こんだ。
「私?嘘でしょ…ゴホッゴホッ」
梨花子は自分の胸をトントンと叩いて息を整える。
「大丈夫か?」
「びっくりしたの、はー、苦しかった…冗談はやめてよ」
「冗談じゃないんだけどな~」
「だって、何もお互いの事知らないのに付き合うって…」
「えっ?付き合ってお互いの事を知っていくんだろ?付き合わないと本音話さないしわかんねぇ」
幸成はビールを一気に喉に流し込んだ。
梨花子はしばらく俯き会話を止めた。