欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
幸成は梨花子の次の言葉をつまみの枝豆を食べながら待っていたが梨花子は黙ったままなので、タブレットで料理と次のビールも注文した。
「…あの、聞きたい事があるんだけど…」
しばらく無言だった梨花子が話し始めた。
「ん?何?」
「高校の卒業式の次の日……何であんなこと言ったの?その、仙道くんの中で思っていればよくない?」
梨花子はもう会わないんだったら告白しなくてそのまま上京すればいいんじゃなかったの?と前から思っていた事を聞いたのだ。
「あー、まあ、それはそうなんだけどな…こんな言い方笹本には変に思われるかもしんないけど、俺が唯一落とせなかった女が笹本なんだよな」
「へっ?」
梨花子は幸成を見た。
「そ、そんなの、私は全然知らないし、仙道くんは彼女をすぐ作ってたじゃない」
「彼女を作ったのは中2になって笹本とクラスが分かれてからなんだ、俺は1年間笹本が好きだった」
「嘘でしょ」
「マジで(笑)告白は出来なかったけど、結構アピールをしてたつもりだったんだけどな」
「例えば?」
「うーん、好きな奴いる?とか、休みの時は何してる?とか?…委員会の時に結構話してたんだけど笹本はまだ恋愛に興味がないんだろうなって思って、振られて話せなくなるのも嫌だったから告白はできなかった」
梨花子は全く憶えてなかったのだ。
「そ、それなら、やっぱり自分の中で気持ちを抑えていてもいいじゃない」
「んー、こっちには定年後くらいに帰るつもりだったからかな、その頃には笹本も俺も別々の家庭を持っていて、還暦くらいに同窓会で会えるくらいかななんて思ってたからずっと心残りなのもな~って卒業式が終わって考えたんだ」
幸成の注文したものが運ばれてきて、一度話は遮られた。
「何か…いきなり上京する前に言われても、私の気持ちは置いてけぼりじゃない?それなら聞かない方がよかったってずっと思ってたの、成人式には帰省するだろうからその時に聞こうと思ってたのに音信不通になるなんて思わなかった」
「音信不通は大袈裟だよ、スマホは番号ごと確かに変えたけど親と弟にはちゃんと連絡は取ってた」
「それなら友達が親に聞けばわかったの?」
「俺が言わないでと言ったから家族は聞かれても番号は言わなかったんじゃないかな」