欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
「笹本ってあんま食わないんだな」
「普通だと思うけど」
「酒は普段は飲む?」
「大学の時に少しくらいで、あまり強くないかなと自覚して、家に帰るのもタクシー使うと料金高いから無理して飲むことないかなって」
「あー、まあ確かに」
「えっ、今日は仙道くんはどうするの?」
「電車で帰る、笹本が夜中まで付き合ってくれるなら終電逃してタクシーで帰ってもいいけど?」
「電車で帰ってください(笑)」
「だろ?俺真面目な人好きなんだよな〜」
「嘘でしょ、面白くないよ」
「笹本は自分で真面目って自覚あるんだ」
「…ある、人からも言われるし、そういう風に行動してきた自覚もあるよ」
「それはどうして?」
「聞いても面白くないよ」
「聞きたい、面白いかどうかは俺が決めるし、面白くなくても笹本のしてきた事は悪いことじゃないだろ?」
梨花子は考えていた。
「そうねぇ…んー、田舎って近所の目があるでしょ?私が仙道くんの車も断ったのも近所の人に見られて噂されるのが嫌だったの、男の夢を悪く言ってごめんなさい、あの時は本当に反省してます」
梨花子は頭を下げた。
「うん、こっちこそそこら辺は考えなくて、車を見てもらいたかったのがあったから…こっちもごめん」
「仙道くんは悪くない…私の父は教員なのね、もちろん近所の人は知ってるし、教師の子供が…って言われるのが昔から嫌だったの、だから真面目に勉強も生活態度もちゃんとしてきたの」
「ふーん、でも笹本はそれは嫌々だった?」
「ううん、それはなかった、家族仲良いと思ってるし、お父さんは優しいし」
「いい家庭で育ってるんだな、俺も結構似てるかも」
「ん?仙道くんは真面目?チャラいんでしょ?」
「真面目、真面目(笑)」
「嘘だ〜(笑)」
「マジマジ(笑)俺最後にお茶漬け食うけど笹本も食う?」
「あっ、うん、食べる」
梨花子はタブレットを持った。
「鮭、梅、鯛の3種類あるけど?」
「俺は梅で」
「OK、私も梅」
タブレットを置くと、ここ出たらどうする?どっかもう1件行くか、お開きにするかと聞かれて迷わず梨花子は帰ると答えた。
「門限はある?」
「ないけど…」
「今度昼間にデートしようぜ、返事は待つ、もっと俺の事知ってからでいいからさ、笹本のペースに合わせる」
「本当?」
「うん、でも俺が笹本と付き合いたいって事は覚えていてな、いや、もう好きかも(笑)」
「嘘だ(笑)」