欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
「本当、だって祭りの時にめっちゃヤキモチ妬いたし」
「お祭り?」
「知らない男と仲良さげに話してた」
「ん?」
梨花子は首を傾げて考えてみる。
「車の側で話してた」
「あ〜、三瀬くんか、同僚だもの話しくらいするよ、ヤキモチなんて妬かないでよ」
「いや、俺が東京から帰ってすぐ笹本に会いに行った気持ちもわかってくれよ」
そうだった……
「わかった、考える…」
「もっと色々出かけて話そう」
「うん」
お茶漬けが運ばれて二人でペロリと平らげた。
「はぁ、美味しかった」
「うん、美味かった」
幸成がタブレットの会計ボタンを押した。
「いくらだった?出すよ」
「笹本全然食べてないからいいよ、俺が出す」
「それはダメだよ、私も出す」
「うーん、じゃあ1000円もらうな、それでいいだろ?」
「いいの?」
「うん、大丈夫」
「こういうのも全部出してもらうのも気がひけるの」
「わかった…もし付き合うならどうなる?」
「同じだよ」
「うん、了解、そういう事も話し合っていきたいと思ってる」
「ありがとう」
梨花子は1000円札を幸成に渡した。
2人は店を出て、梨花子のバイクが置いてある場所まで歩いた。
「酔ってない?電車で寝ないでね」
「俺、酒強いから全然大丈夫、じゃあ気をつけてな、来週また誘う」
「ありがとう、ご馳走様」
梨花子はバイクで帰って行った。
幸成は上を見上げた。
「ふぅ…やっぱそんな簡単に付き合えねぇか」
幸成は駅に向かって歩き出したのだった。