欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる

『いただきます』

2人はしゃぶしゃぶを食べ始めた。

「恵那ちゃんは彼氏さんの方のお祭りに今年は行ったじゃない?盛大だった?」

「うん、とっても!地方のニュースとかでよく出ている地区だから見物客もたくさんいたよ」

「そうなんだぁ」

「でも見れるだけで近くには寄れないし、ずっと彼氏もお神輿担いでいるから1人で寂しかったー、ほらうちらの地区は少ないからみんなでわいわい出来るとこがあるじゃない?」

「それは確かに」

「来年はこっちを手伝うよ、参加してる感がある方が楽しかった、彼氏も私の事なんて探す暇はないし、終わってから会う方がいいなってお互いに話したんだー」

「よかった、嬉しい(笑)」

梨花子はホッとしてお肉を頬張った。

「美味しい(笑)」

注文したものがロボットで運ばれてきて、梨花子は目を丸くした。

「恵那ちゃん、ロボットだ!こんな田舎に(笑)」

「このお店は全国のチェーン店だからここでも導入されてるのよ」

「そっか」

梨花子はロボットからお皿を取っていた。


「ねぇ、仙道が帰って来てるの知ってる?」

パクっとお肉を口に入れた時に恵那ちゃんに聞かれたのでモグモグしながら梨花子は頷いた。

「幼なじみの大澤にも連絡先教えてなくて10年経って戻ってくるってどうしてなんだろうね、東京で生活出来なくなったのかなー」

そういえばまだ何も仙道くんのこの10年間の事を知らない梨花子。

「恵那ちゃんは戻ってきてる事をどうやって知ったの?」

「舞香(まいか)からLINEがきたかな」

「舞香ちゃんて…仙道くんの元カノだったよね?」

「そうそう中2の時の最初の彼女、お祭りで話したんだってー、かきくらべの時に、お神輿に乗ってたらしいじゃん」

「そうね、乗ってた…」

あれ?いつ仙道くんは舞香ちゃんと話したんだろう…一番最後に到着してから20分くらいのあの集団にいたのかな?

私は男子だけしか見えなかったんだけど…

その時にしか話せなかったはず…終わってからは私と話して大澤くんに連れていかれたから。

「あつっ!」

「大丈夫?ぼーっと口に入れてたよ、ふうふうしな」

「ごめん」

「謝ることじゃないけどさ、梨花子の口の中が火傷するだけだから(笑)」

「そうだね(笑)」

梨花子は次の1口はふうふうして食べていた。

「で?」

「うん?」

「梨花子は何で仙道くんが戻ってきたのを知ってたの?」

「お祭りで会って…大澤くんと3人で話したよ」

梨花子は野菜をタブレットで注文した。
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