欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
ドライブ
次の週の土曜日に仙道くんからドライブのお誘いのLINEが入ってきたのは火曜日の昼休みだった。
お弁当を食べながらLINEをひらくと文章の後に車の写真も送られてきていたのだ。
この車で行くってことよね、買い換えたのかな?
梨花子はスケジュールを確認して、いいよと返事をすると、やったーとスタンプが返ってきた。
「ぷっ、可愛いスタンプ」
梨花子は恵那に話した事で幸成から誘われたら用事がなければ会っていこうと決めたのだ。
わからない事は聞けばいい、うん、恵那のおかげで少し前向きに考える梨花子だった。
前日に幸成から時間の連絡があり、車で家まで行くか、海岸線で停めておくかの選択をさせてくれて、梨花子は海岸線を選んだ。
もちろん母親が家にいる予定だったからだ。
梨花子はご飯はいらないと母親に告げて、待ち合わせの10時に海岸線へ降りていった。
お天気が良くて、茶色のロングスカートに白いブラウスに同じ茶色のベスト、気温も高かったので肘にGジャンをかけて停まっている車に小走りで走っていくと運転席が開いて仙道くんが車から出てきた。
「おはよう」
「おはよう、待った?」
「いや、時間通り(笑)」
セダンタイプの黒の普通車の助手席のドアを開けてくれて梨花子はありがとうと言って乗り込んだ。
「車…どうしたの?あの仙道くんのスポーツカーは?」
「あるけど、今日は母親の車なんだ」
「私の為?」
「まあ、近所で目立つとかじゃなくて、少し遠出になるから笹本が酔ってもなと思って…俺の車は振動があるしな」
「そうだったっけ?」
「うん、この前はユキちゃんを抱えてたから乗り心地とかは頭になかっただろ?」
「…確かに」
出発するなと幸成は言うとゆっくりと車は走り出した。
少し窓を開けて海岸沿いの潮風を感じながら幸成は鼻歌を歌っていた。
幸成のスマホからカーナビに連携されてBluetoothで曲が車内に流れている。
「あっ、この曲、高校の時に応援歌だったよね、懐かしい」
「そうそう、今でもよく聴いちゃうんだよな、2年の時に優勝したもんな」
「したね~仙道くんはリレー速かった(笑)」
「憶えてくれてんの?」
「もちろん!盛り上がって応援したもん」
「そっか…嬉しい」
幸成は少し照れて一瞬海の方を見た。