欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
しばらく走ると隣の市に入り、山の方にあるショッピングモールに車を停めた。
「少し昼飯には早いからちょっと俺の行きたかったとこに寄ってもいい?」
「うん」
幸成の後をついて歩いていると隣接しているグラウンドに着いた。
「ここはサッカー場よね?」
「あぁ、試合がない日は誰でも観客席まで入れるらしいから来てみたかったんだ」
「実は私も見てみたかったの」
「サッカー場を?」
「ううん、敷地内に複合福祉施設があるの」
「あー、あの建物か」
幸成は指を指した。
「うん、カフェとかも…色々あるみたい」
「じゃあ昼飯に行ってみるか?」
「いいの?」
「もちろん」
観客席の1番上まであがり席に座った。
今日は子供サッカー教室が開かれているようで、たくさんの子供達と親がグラウンドにいた。
「いいなぁ…楽しそうだ(笑)俺、男の子の親になったらサッカー教室に通わしてえ」
「結婚する気あるんだ」
「あるよ」
「意外…」
「そっか?」
「1人で自由に生きたいのかと思ってた」
「んー、そう考えてた時期もあったけどさ、ある意味賭け…言い方が悪いな」
幸成は少し言葉を考えて話し始めた。
「俺の家はさ、仙山寺っていう寺なんだよ」
「えっ、お寺の名前は聞いたことはあるけど、行った事はないかな」
「過疎地で人口が減少している今、親父は今はギリギリ生活出来るけど俺や弟の時代には兼業でしないと厳しいと中学の時に話があったんだ」
「そう…確かに今はお墓の管理をする人がいなくて大変てニュースで見たことがある」
「うん、実際檀家の数は減っている…親父は好きな仕事をしてもいいと言ったんだよ、だから俺はやりたい事があって大学進学で上京したんだ、正直帰ってくるつもりはなかった、だから笹本に好きだったって伝えてから東京に行ったんだ」
「やりたい事って?」
「自分のブランドを作ること…俺は服が昔から好きでさー、少しだけモデル業も経験したし、大学の友達もモデルやってる子がいて色々勉強させてもらったんだ、大学時代に友達とネットショップで売ったりしてさ、服好きな仲間が集まって大学卒業して小さいけど会社を立ち上げたんだ、一応代表をやらせてもらってる」
「凄いね」
梨花子は感心していた。
そんな行動力は自分にはないと思いながら…
「マルシェも開催することがあるらしくてさ、服を売ってみたいとも思ってる」
「でもそれなら拠点は東京で出張で地元に帰ってくるのでもよかったんじゃ?」
梨花子はグラウンドを見ている幸成の方を向くと遠くを見つめていた。