欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
しばらく海をじっと見ていた幸成…
「昔と何も変わってねぇや…俺がアピールしていたことも気づいてなかったもんな」
幸成はフッと口角が上がった。
でも、笹本はまだ実家にいる事はわかった。
結婚指輪もしていない事も確認できた。
「やっぱ美人だよな笹本は…俺はまた好きになってもいいのかな……」
高校卒業から10年か…長いよな、俺も色々あったし、きっと笹本にも…
この10年、いや、中学1年からどこかにあった笹本への好きの気持ち…
大きくなったり、小さくなったり、だけどなくなる事はなくてこんなに月日が経ってしまった。
もう遅いかな…誰かいい人がいるのかもしれない、だけど今日会って確信した。
俺はやっぱり笹本が好きだっていうことに……
幸成は歩き出し、海岸沿いを歩いていると後ろから「ピッ」と鳴らされた。
幸成の横をスクーターが通ったのだ。
ん、笹本か?
スクーターに乗っている人の左手が小さく振られていたのが見えたのだ。
「ふっ、笹本だ(笑)」
少し手を振ったときにフラついたが、すぐにまっすぐ走り出したのが見えた。
「俺……、頑張ってみるかな」
海岸沿いの道路から車を停めれるスペースが少しだけあり、幸成は白いスポーツカーに乗り込んだ。
1度家に帰り、母親の用意してくれていた朝食を幸成も食べた。
「昼に市役所に行ってくる」
幸成は母親に話すと
「手続きすることあったっけ?」
「住民票とか、あと空き家探しで話を聞いてくる」
「空き家?、幸成は一人暮らしするつもり?」
「まあ、それも考えてはいる、仕事もしなきゃだし」
「ゆっくりしてもいいのよ、昨日帰ってきたばっかりなのに」
「うん、ありがとう、ゆっくり探すよ」
少し休んで昼前に40分ほどかかる市役所へスポーツカーで向かった。
中へ入り転入届の手続きの紙を貰い、住宅課を探して歩いていると
「仙道くん?」
朝と同じ声がしたのだ。
「笹本、何で?」
「仙道くんこそ、何課に用なの?案内するよ」
「住宅課か、地域振興課かなぁ」
「ん?不動産屋じゃなくて?」
「あぁ、さっき転入届はもらって来た、ちょっと話を聞きたくてさ」
幸成は紙を見せた。
「7階だけど今昼休みだから案内するよ」
「いいのか?貴重な昼休みを」
2人はエレベーターに向かって歩き出した。
7のボタンを押してしばらく待つ。