欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる

「テレビでよく見るサービスエリアに来れて嬉しい」

「ここは有名だからな」

「うん」

「…梨花子」

「ん?」

幸成の方を見るとすぐ側に顔が来ていてキスを交わした。

「ねーぇ、恥ずかしい」

「誰も知り合いはいねぇ(笑)」

「そっか」

「梨花子も解放しろよな」

「ん?何を」

「心を」

「うん?うん、よくわかんないけど」

梨花子はバックから口紅を出してメイク直しをした。

「ねぇ、少し聞いても大丈夫?」

「ん?何?仕事の事?」

「半分そうかな…あのさ、幸成は会社の社長として東京にいなくていいのかって事」

「……俺もいるものだと思ってたよ、でもさ結局梨花子の事が忘れられなかった、どうしても梨花子ならこうするだろうなって付き合った事もないのに比べちまう」

「それなら何で連絡を断つ選択をしたの?」

「ちゃんとした大人になりたかった、夢も叶えたかった、いい生活もしたかった…俺のたくさんの欲望だ、父さんから寺を継がなくていいと言われた時に色々な欲望が俺の中に出てきたんだ、だから上京した」

「それは別に悪い事じゃないけど…私は20歳の会で会いたかったの」

「え?」

「私も…幸成が初恋なの」

「……マジか、でも20歳の会に帰ってきてたら梨花子と上手くいく可能性はあったのか?」

「それはわからないよ、過去の事だもん、連絡が取れないなんて思わなかったし」

「でもきっとその時に付き合っても上手くいかなかったかもしれない、遠距離になるしな」

「…そうかもね、でも戻ってきたのは私の事だけじゃないでしょ?」

「それは……まぁ」

幸成は言葉を濁した。

「私、幸成の事を責めてるんじゃないからね、可愛く言えないだけで」

幸成はしばらく黙ってしまった。

「私、おやつ買ってくるね」と梨花子は車を降りた。

幸成も悩んでるんだ…

今さら幸成と結婚しない選択は梨花子にはなかった。

出張?単身赴任?週末婚?

お互いがどう歩み寄る?

あと幸成の欲望はもう満たされたの?だから戻ってきたの?

ゆっくりお付き合いをしていきたいのに私ってば結婚の焦りが出てきているのかな…


色々なおやつを買い込んで梨花子は車に戻ってきた。

「すげー買ってるし、晩メシ食えないんじゃないか?」

「それでもいいかなって(笑)」

「やだよ、俺はメシ食いたいよ」

「何か無意識に買ってたんだもん、ホテルに持って帰ってもいいしね」

買ったものをガサガサと梨花子は開け始めた。

「この時間でさ、話せる事を簡単にまとめてみたんだ」

「うん、言いたくなかったら無理しないでね」

「それはない、ただ言葉を選びたかっただけ」

幸成は梨花子のおやつをひと口かじった。
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