欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
「幸成、おめでとう」
「白木、何だよ、いつも乾杯だけだろう?」
「とりあえず呼べる人は声かけた、きっと最後の誕生日パーティーになるだろうからな」
「白木…そんな一生の別れじゃないじゃないから」
「俺や従業員はそうだけど、大学時代の友人は中々会えなくなる…」
「仕方ないじゃないか、っていうか何年ぶり?のヤツとかもいるじゃん(笑)」
梨花子はソッと腕を離し、1歩下がった。
幸成はたくさんの友人と話し始め、輪の中に消えていった。
「どうぞ」と可愛い女性の方が梨花子に声をかけてくれて、カウンターに座る事に…
「幸成が東京から居なくなるって聞いてみんな集まってくれたんですよ」
「そうなんですね、有難いですね」
何か呑みますか?とマスターらしき人がきいてくれて…梨花子はノンアルコールのカクテルをお願いした。
「飲めないんですか?」
「まあ、あまり強くなくて」
「酒豪の幸成に付き合えないんですね」
「幸成もわかってくれているので」
梨花子の前に飲み物が置かれた。
「ありがとうございます、いただきます」
ひと口含むと「美味しいです」とマスターに伝えた。
幸成を見るとジャケットを脱いでいて、梨花子は預かりに席を立つ。
「幸成、ジャケット預かるよ」
「サンキュ、呑みすぎるなよ」
「大丈夫、楽しんで」
梨花子はジャケットを自分の腕にかけて席に戻った。
「なるほど、よく気付く系なのね」
「どういうことですか?」
「幸成の今までの彼女のタイプよ」
「そんな…タイプ別になんて分けないで欲しいわ、人の性格はそれぞれ違うんだし、幸成もチャラいながらも…あっ、失礼…えーと、過去の人は過去の人だから気にしないの、幸成は意外と真面目よ」
「幸成が真面目なんて初めて聞くわ(笑)」
「失礼ですけど貴方は幸成とはどういう関係ですか?」
「私は…そうねぇ、仕事のパートナーにこれからはなるかしら」
「なるほど、よろしくお願いします、婚約者の梨花子と申します」
「はあ?婚約者?聞いてないんだけど?」
「話してないでしょうね、お仕事関係の方に話す必要はないので」
「それはこれからどうなるかわからないでしょ?マスターおかわり!」
ということはこの方は元カノではないっと…
隣の彼女はカウントダウンの前に帰ってしまった。
梨花子は幸成に呼ばれ、隣に座っていた。
そこで婚約者と紹介してくれたのだ。
そして、東京から離れている事も話して田舎に戻るから来年はここにはいない事をみんなに告げた。
定期的に東京には来るからその時にはまた飲もうなとみんなに告げていた。
本当に人が好きで、友達も多くて…でもきっとこの中の人も幸成に会うのが最後の人もいるんだろうな、幸成が18歳の時に連絡を切ったように…
幸成ならまたやりそうな気がしていた。