欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
新しい年
どこからかカウントダウンの声が聞こえてきた。
『5、4、3、2、1 ハッピーニューイヤー』
『カンパーイ!』
梨花子はシャンパンを少しだけついでもらっていて、幸成とグラスを合わせて乾杯をした。
「今年もよろしくね」
「こちらこそいい年にしような」
30分程経つと幸成がそろそろ帰るわとみんなに告げた。
「集まってくれてありがとうございます、また時々は東京に出てくるんでその時はよろしく!」
梨花子からジャケットを受け取り白木の元へ。
「みんなを集めてくれてサンキューな、また仕事始めには上京するからよろしく」
「またな」
2人は店を出た。
「もう少し居たかったんじゃないの?」
「いや、あのくらいでいいんだ、毎年祝ってくれるけどいつもは客の出入りはあるのにわざわざ貸切にしなくてもな、自由に飲めばいいんだよ、初詣に行こうぜ」
「うん!」
近くに神社があり、人もまばらだったがお参りだけしてホテルに戻った。
地元に帰ってから挨拶がてら幸成のお寺で改めてお参りする事を話して…
幸成は梨花子の服を脱がしていく。
「ねぇ、幸成は本当に何が欲しい?服も買取りしてくれてさ、私が何かしてあげたいの」
「俺は梨花子が欲しいって言ってんじゃん(笑)今の俺の欲望は梨花子だけなんだよな」
そう言って2人は身体を重ねあった。
お酒に酔っていた幸成は少し抱き方も荒く梨花子の顔をあまり見なかった…
友人達と離れるのは寂しいよね、きっと高校卒業の時はもっと寂しかったのかもしれない…私にだけ伝えに来てくれた気持ちを忘れないようにしよう。
幸成の動きが止まって、梨花子の胸に頭をつけると梨花子は手を回し、幸成の頭を抱いた。
「幸成…友達と連絡を絶つことはしなくていいよ」
「…なんで…わかった?」
「勘(笑)18歳の頃とは違うんだから、それに絶たれていた友達を見てきたから…何かを犠牲にして何かを得なくていいと私は思うの」
「梨花子は煩悩ってわかる?」
「108つあるっていう事?除夜の鐘とかもそうだよね」
「除日って昨日なんだけど古いものから新しいものへ変わる事を意味するんだ、俺はその日に産まれたのは意味のある事だと思っていて…俺は欲望と煩悩の中で打ち勝たなくちゃいけないと昔から寺でお経を唱えながら思っていたんだ」
「煩悩って欲の事でしょ?幸成だけじゃないよ、欲があるのは、1人で戦わないでよ、寺の息子だからって世界中に昨日産まれた人はたくさんいるの」
「そうだけど…」
「10年前からの幸成を否定してるんじゃないの、幸成の考えてる煩悩は人との縁を切ることじゃないのよ、今はね」
「梨花子…」