欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
正式に
次の日、空港で昼食を食べ、地元に帰った2人は梨花子の家にタクシーで向かった。
「ただいま」
玄関を入り、リビングに行くと両親と弟の怜士がいた。
朝に幸成が挨拶に行くことも伝えていたのだ。
怜士はもちろん両親も母親は怜士の部活を手伝いにきていたからよく知ってはいるし、父親は怜士の話によく名前が出ていたから幸成の事は知っている。
「お正月に時間を作って頂いてありがとうございます、仙道幸成です」
ソファとダイニングテーブルに分かれて座っていた家族達は幸成が頭を下げると同時に一緒に頭を下げていた。
梨花子とソファに座り、ソファにいた怜士はダイニングテーブルに移動する。
「これ…幸成にもらったの」
梨花子は左手の薬指の指輪をみんなに見せる。
「めっちゃ石デカイな、幸成さんて何の仕事してんですか?」
「今は自分のアパレルのブランドを立ち上げていて、友人と共同代表で通販で服を売っているんだ」
「今着てる服?」
「そうだ」
「かっけー」
「そうか?怜士にプレゼントするな」
「共同代表というと社長か…」
梨花子の父親は呟いた。
「拠点は東京か?」
「いえ、こちらで新たな事業を始める準備をしています、だから拠点はこちらで東京には何ヶ月に1度出張という形にします」
「それはどうしてそういう事にしようと思ったの?」
母が聞いた。
「ちょっとみんな聞きすぎじゃない?」
梨花子が言うと幸成は大丈夫と言った。
「何年か前に父親が病気になり1度帰ってきたんです、実家は仙山寺の長男なんです」
「仙山寺?山の?」
「はい」
「親からは今は過疎化だから僧侶だけじゃ生活は苦しいから好きな仕事をしてもいいと言われてたんですが、やはり何かあった時に代わりはいるとその時に思いました」
「幸成さんて弟がいますよね」
「いる、そして跡をつごうと今は宗教の大学へ通っているんだ」
「じゃあ君は跡を継がないと言うことか」
「正式には弟が跡継ぎになると思いますが、弟にもやりたい事をやって欲しくて、例えば今はフットサルをしてるんですが、試合とかあれば代わりに法事は俺が行ったりとお互い我慢をせずに助け合いたいと思ってます」
「姉ちゃんはそれで納得してんの?住職の嫁になるって事だよな」
「私は今まで通り、もっと福祉の勉強をして市役所で働くつもりよ、ねっ」
幸成は頷いた。
「お互い地元の過疎化をどうにか盛り上げたいって思いが同じ考えなんです」
「確かに若い人がそういう考えなのは嬉しい事だ、梨花子は昔から福祉の勉強をしていたし、梨花子がいいなら喜んで結婚を祝うよ」
「ありがとうございます!幸せにします」
幸成は頭を下げた。