欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
梨花子は幸成のご両親に挨拶をしたいとLINEを入れた。
すぐに返事はなく1時間後に幸成から電話があった。
「あっ、梨花子、返事遅くなって悪い」
「うん、全然大丈夫だよ」
「今週は法事と地区の集まりがあるらしくて、来週の夜なら大丈夫みたい」
「わかった、そちらの都合のいい時間で大丈夫だよ」
「明日はどこか行く?」
「そうねぇ…幸成は行きたい所はないの?」
「俺?」
「うん」
「素直に言うとラブホだけど(笑)」
「素直すぎない?(笑)でもごめん、今週は無理なの」
「了解、じゃああんまり動かない方がいいか?」
「大丈夫よ」
「うーん、それなら…動物園とかは?」
「えっ、行きたい!遠足以来かも」
「だよな(笑)じゃあ9時に迎えに行く」
「うん、じゃあ…」
動物園かぁ…楽しみ、そういえばこの前ニュースで見たな。
梨花子は地元の動物園のホームページをしばらく見てから眠りについた。
次の日、梨花子は歩きやすいパンツスタイルに運動靴で幸成を待った。
庭で待っていると白いセダンタイプの普通車が庭に入ってくる。
「幸成?」
顔を確認してから助手席を開けて乗り込んだ。
「おはよう」
「おはよう、また車違うけど」
「こっちに戻ってきてから知り合いの中古車屋に買いに行った」
「買ったの?」
「中古車だけどな」
「それでも高級車だよ」
「まあ母さんの車を借りても良かったんだが…これはもう将来のため、2人で乗るための車だ」
「2人?」
「そう、一緒に住みだしたら梨花子もこの車は使ってもいいってこと、車がないと不便な地域だろ」
「それはそうね…もう考えてくれてるんだ」
「そりゃ考えるよ、住む所だって梨花子の意見も聞こうと思ってる」
「…うん」
しばらく無言で車を走らせた。
週末の動物園は冬なのに駐車場まで行くのに長い車の渋滞が続いていた。
「夏の夜の動物園はかなり帰りが渋滞になるらしいけど動物園は季節問わず人気なんだな」
「そうね」
「梨花子」
「うん?」
「今…俺に呆れてるか、自分を責めてないか?」
「…うーん」
「俺がまた先走ってるか?」
渋滞の列がゆっくり動きながら進み始めた。
「2人の事を考えてくれてるのは凄く嬉しい…でも少し考える物事の温度差があるのかなってさっき思ったの」
「話して」
「幸成の考えもわかるの、もう結婚を前提に付き合い始めた訳だしね、前も言ったけど私はまだそこまで考えてなかった…それを少し申し訳なく思ったし…私は人を中心に考えちゃってるんだなって」
「例えば?」
「まずはご両親に私が幸成の嫁として認めてもらえるかとか、幸成は何の仕事をしようとしているのか…あのBARで会った女性は幸成とどういう関係の人なのか」