欲望と煩悩の狭間で初恋の彼女を愛でる
「可愛らしい感じで幸成の今までの彼女を知ってる感じだった、酒豪って言ってたから飲んだことはあるみたいだった」
「あの日は大学の頃の友人もいたから仕事となると…」
幸成は考えていたが結局わからないようだった。
それなら幸成はその彼女には興味がないのねと少し梨花子は安心したのだ。
「さて、もう少し歩くか」
「うん!」
あっという間に夕方になり楽しい動物園の時間は終わった。
「また行こうな」
「うん」
夕食をお好み焼き屋で済ませ、今日は将来の事じゃなく学生時代の懐かしい話で盛り上がった。
明日は梨花子を連れていきたい所があると幸成に帰り際に言われ、午後からの約束になった。
次の日、幸成に連れてこられたのは幸成の家の近くの大きな平屋だった。
日曜日とあって誰もいなかったがこの平屋は幸成が目をつけていた空き家をリノベーションしている最中の家だった。
「ここは俺がBARを経営したいと思っている平屋だ」
「BAR?街じゃなくて?」
「うん…昔ってさ公民館に近所の人が集まって行事の打ち上げとかやってたんだよ」
「それは私の地域もそうね」
「今はもう学生がいない地区になっちまった、集まるのもお祭りか地区掃除くらいで、歳とっても気軽に集まれる場所が欲しいと思ったんだ、山の人間て遊ぶ場所がないから呑むしか楽しみがないって昔からみんな呑める人が多かった」
「わかるけど公民館じゃだめなの?」
「昔、子供の頃にさ、みんな男は呑んで主婦は料理作って片付けなきゃいけない、母親もその日に主婦同士で呑んで次の日は片付けに何時に集合ねとか約束してたのを聞いていた」
「お祭りは私も手伝うからすごくよくわかるわ」
「若いから出来たけどもうみんな高齢だし負担のない呑みの場所を作れたらと前々から考えていたんだ、もちろん雑魚寝で次の日に帰ってもOKで広いこの空き家を選んだ、聖司みたいに帰ってきても街まで出ずに気軽に飲みに来て欲しいんだ」
「その場所を幸成が作るの?」
「そうだ!」
梨花子は考えていた。
「幸成とは一緒に住めないの?」
「ん?」
「だって店に朝までいる人がいるじゃない?お酒を出したり、料理を出したり」
「雇うつもり、今は田舎に移住したい人もかなりいるんだよ、俺もほったらかしにはできないからその人が休みの日は俺が出るとかは考えている、聖司も仕事があれば帰ってきたいみたいだし、怜士もな」
「怜士も?」
「そうらしい、仕事がないから県外で頑張ってるって…俺もだけど都会で疲れてふと田舎に帰りたいと思ってた、でも仕事しなきゃ生活できないからさ」