嫌われ爺さんへの怨み節
かなり冷たい言葉だが、それが現実であった。

「そりゃあ⋯⋯まぁ、いないだろうけど、一応は連絡しないと。あんたは秋子にもう一度連絡してくれない?」

「まあ、お姉ちゃんのことだから、多分、断るだろうけどね。あ!喪服、放置したままだから、急いでクリーニングに出さなきゃ!」

危機感も悲壮感もゼロの会話である。

旧姓中山、現在は田中秋子という名の、中山家の長女は、妹の美奈子からの電話を受け、

「爺さんが危篤ねえ⋯⋯。でも、隣県とは名ばかりで、高速使っても4時間半かかるのは美奈子も知ってるでしょ?新幹線も高いし」

美奈子の姉というだけあって、ドライに秋子は言う。

「だよね、めんどくさいのはわかるよ。ただ、母さんがお姉ちゃんを呼べってうるさくて。まぁ、世間体の問題だと思うけど」

「とりあえず、旦那に相談してから折り返すわ」

そっけなく答えた秋子は、つい最近、またしても学への怨念を感じていた。
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