嫌われ爺さんへの怨み節
嫌われ爺さんの危篤
美奈子は仕方なく、志津子を車に乗せて死人⋯⋯もとい、市民病院にやって来た。

しかし、病院特有の雰囲気が大嫌いな美奈子は、

「終わったら電話して」

母の志津子に告げると、さっさと帰っていった。

(美奈子、今でも爺さんのことを怨んでる⋯⋯?まあ、当たり前だわね)

スノッブな志津子は、美奈子の縁談に大賛成だったので、学が怨まれるのは当然だと思っていた。


「あ、中山学さんの奥様ですね?」

カマキリみたいな女医が志津子に話しかける。

「ええ⋯⋯主人、どうしましたの?」

女医は、言いにくそうに、

「ちょっと、大変なことになっていまして⋯⋯」

「はぁ」

「でも、緊急なのでご家族にはお伝えしておかないといけませんから、単刀直入に申し上げます」

「何でしょう?」

「残念ですが⋯⋯。ご主人はこれまでの不摂生が祟ってか、多臓器不全で非常に危険な状態にあります」

「はぁ」
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