あの夏、キミが描いた青空

学校に着いて生徒玄関に向かうと、生徒玄関のドアは閉められ鍵がかかっていた。



けれどあたしは、職員玄関が開いてることを知っている。



裏に周り、こっそりと職員玄関のドアを開けて中に入った。



最終下校時間はとっくに終わってるため、この時間に学校にいるのがバレるのはかなりまずい。



あたしは足音を立てないように、また、姿を見られないように姿勢を低くして歩いた。



幸い、あたしの教室は一階だ。



生徒玄関を通り過ぎて、左に曲がってすぐのところ。




生徒玄関から入れたらどれだけよかったことか。



職員玄関からは少し離れているが、まあ大丈夫そうだ。



問題はそこの角を曲がったところにある長い廊下と、その途中にある階段だ。



階段かこの長い廊下に先生が来たら、それこそおしまいだ。



あたしはタイミングを見計らって、今だ!と飛び出した。



と同時に、教室と反対の向こうの角から影が見えた。



これじゃあ引き返しても見つかってしまう。



あたしは怒られる覚悟を決めた。



そのとき、



「あっ、小山先生ちょっといいですか?」



階段を降りる足音が聞こえた。



小山先生がいるところにも階段があり、その階段から別の先生が小山先生を呼び止めたのだ。



あの影は隣のクラスの担任の、小山先生だったみたいだ。



「はーい」



小山先生は返事をして、来た道を引き返した。



よかった、危うく気づかれるところだった。



あたしは安心して胸をなでおろし、一気に教室に向かおうと振り向いた。



「…お前、今度は何してんの?」



「きゃああああ!」



振り向くとそこには、いつの間にいたのだろうか、大野が立っていた。



あたしは急いで自分の口元を手で覆った。



しかし、あたしの声は小山先生ともうひとりの先生に聞こえていたみたいで、



「誰かいるの!?」



また階段を降りてきた。



「逃げなきゃ!」



あたしは咄嗟に大野の手を掴み、そのまま教室まで走った。



「おい、何だよ。離せって」



あたしの後ろで大野が何か言ってるが、今はそんなこと聞いている場合ではない。



走って走って教室のドアを開けて、窓際にある机の影に隠れた。



大野もあたしの隣に腰掛ける。



「おい、おい!」



「あっ、ごめん…」



大野の声で手を繋いでることに気づいたあたしは、サッと手を離した。
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