幼馴染み勇者様との一途な身代わり初恋♡~勇者の幼馴染という負けポジションの妹の身代わりになったつもりで、つもりだったのに何故か執着溺愛されちゃった私の誤算。~

07 浴室

 チャポンと音を立てて一粒の水滴が、たっぷりと湯が満たされた湯船の中へ落ちた。

 狭い浴室の中では、ささいな音が思いのほか響く。

「はあ……」

 自然とため息をこぼれた。こんな風にゆっくりとお風呂に入れたのは、いつ振りだろう。

 下手をすると前世の日本のお風呂まで、記憶を遡らなければならないのかもしれない。リース村にある家には、こんな風に足をまっすぐ伸ばして入れるような湯船はないのだから。

 魔物がうろつく森の番人を引き受けるような男性は、鍛えられて身体も大きい人が多いだろうから、この大きさでも小さく思えるものなのかもしれないけれど。

 隠れ住む番人小屋で、こうして風呂に入ろうとすれば、薪を集めて湯を沸かすしかない。けれど、私一人だけの手では、多くの薪を集められるわけもない。

 だから、ここに住んでからというもの身体を清めようと思えば、小さな鍋で沸かしたお湯で身体を拭くだけに留めていた。リース村では家族でお湯を沸かしていたので、湯船に入る習慣があった。

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