幼馴染み勇者様との一途な身代わり初恋♡~勇者の幼馴染という負けポジションの妹の身代わりになったつもりで、つもりだったのに何故か執着溺愛されちゃった私の誤算。~
 十何年も平和な村でのんびりと過ごしてきたのだから、正式な晩餐会に慣れているはずもない。

 慣れないコルセットで締め上げられて食事も喉を通らなそうだけど、出された皿に少しでも口を付けるのがこういった正餐の礼儀作法(マナー)なのだ。

 給仕は何人か居たけれど、肉料理が並べられた時に葡萄酒が目の前の杯に注がれた。

 そして、杯を手に取って口に運ぼうとした時、私はワインの注がれた磨き上げられた銀杯に、白い曇りを発見した。

「……あ」

 これは、物語でも良く描写のある、不純物……つまり、人体に毒性のあるヒ素が入れられているということだ。

 私は反射的に上席に居るエリザベスをパッと見た。彼女は私を見ていて、気まずそうに目を逸らした。

 ドクンッと心臓が跳ねた。あの姫は、私のことを、殺そうとしたんだ。

 これを知らずに飲んでいたら、間違いなく死んでしまっていた。生命の危機をまざまさと感じ、嫌な汗が出てきてドクドクと大きな音を立てて胸が鳴った。

 ああ……そういうことね。

 エリザベスは、私を消したい……つまり、殺したいほどに憎い、恋敵だと認識しているということ……?

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