幼馴染み勇者様との一途な身代わり初恋♡~勇者の幼馴染という負けポジションの妹の身代わりになったつもりで、つもりだったのに何故か執着溺愛されちゃった私の誤算。~
 私が座る席でフェリクスの逆隣は、亡くなってしまうはずだったナザイレだ。彼は生来貴族なので、そつのない洗練された動作で食事をしていた。

「おい。これは駄目だ……」

 この時、右側に居たナザイレも私の右手が持つ銀杯の内側にある、白い曇りに気が付いたらしい。今にも近くの誰かを呼ぼうとしていたので、私は慌てて左手で彼の動きを制した。

「待ってください……これは、良いの。ここで騒ぎには、したくないから」

 もし、こんな場所で毒が仕込まれているということになれば、警備担当の威信にかけて犯人捜しが行われるはずだ。

 なんと言っても、国王陛下が居るのよ。そんな状態で、毒入りの葡萄酒があり、中途半端な捜査が許されるはずもない。

 エリザベスは犯行後、毒を飲ませようとしている私の方をじっと見てどうなったかを確認しているくらい迂闊なのだ。

 おそらくは彼女が犯人であるという、証拠品がすぐに出て来ても何もおかしくない……ここに居る警備担当者、給仕担当者は、すべて殺されてしまうかもしれない。

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