幼馴染み勇者様との一途な身代わり初恋♡~勇者の幼馴染という負けポジションの妹の身代わりになったつもりで、つもりだったのに何故か執着溺愛されちゃった私の誤算。~
 犯人が国王の娘であるエリザベスだとわかってしまった場合、聖女でお姫様である彼女に毒殺の罪に問うわけにはいかず……毒殺未遂の被害者となる私が、面倒なことになってしまうのは目に見えていた。

 ……となれば、事は未然に防げて起こらなかったのだから、なかったことにしてしまうのが一番良い。

「ナザイレ? 何があった?」

 私たち二人の妙な空気を感じてかいぶかしげな表情のフェリクスを見て、ナザイレもこの事態を彼が知れば、面倒なことになると悟ったらしい。

 彼の性格上、エリザベスが犯人だと知れば、許せないとすぐに騒いでしまう可能性だってある。

「いや……そうだな。ここで騒ぎを起こすのは、あまり良くない」

 ナザイレはさりげなく私の持つ銀杯を取って、近くを通った給仕の持つ盆へと返していた。あれは誰かに使用されたものとして下げられるから、誰も口にするはずがない。

 ……これで良いわ。洗われて毒があった痕跡など、すべて流れてしまえば良い。

「ありがとうございます。助かりました……」

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