幼馴染み勇者様との一途な身代わり初恋♡~勇者の幼馴染という負けポジションの妹の身代わりになったつもりで、つもりだったのに何故か執着溺愛されちゃった私の誤算。~
「もう……フェリクス。貴方は小さな子どもではないのよ?」

 私は小さくため息をついて、フェリクスへと近寄った。愛らしかった幼い頃を知っているから、甘えている仕草がその頃のままで、余計に大きな子どもに見える。

「ありがと。アリーチェ」

 ふわっと微笑んだ嬉しそうな顔は、あの時のまま変わらない。

 私は敢えて、幼なかったフェリクスの歓心を買った。こういう顔をよく見た。

 そして、私へ好意が向くように仕向けた。好きにならないように言い聞かせても、フェリクスの持つ凄まじいまでの魅力は、そんな我慢なんて簡単に飛び越えた。

「服が皺になるわよ。もう……腕を上げて」

 非協力的なフェリクスからなんとか上着を脱がせてシャツの釦に手を掛ければ、横たわった彼は不敵な笑みを浮かべた。

「ねえ。なんだか、あの時を思い出すね。アリーチェ」

 私がいかにも高級そうな貝製の釦を苦労してひとつひとつ外していると、フェリクスが遠い目をして語り出した。

「……何のこと? わからないわ。フェリクス」

 あの時と言われても、幼なじみの彼と過ごした日々があまりにも長過ぎて、どの時のことなのか分からない。
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