塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
噛みつかれた場所は痛みの割にあまり痕が残っていないので、あれでも手加減されていたのかもしれない。それよりも、覚えのない場所にもあちこち赤い痕が残されている。無我夢中で抱かれている時に、きっと肌を吸われたのだろう。
湯に浸かりながらラシェルは、あらためてレナルドが豹変した理由を考え込む。
妻を愛していると思い込んでいるレナルドは、ラシェルが別の男――セヴランと一緒にいるところを見て嫉妬したのだろうか。
「私だって、レナルド様が誰か知らない女性と一緒にいるところを見かけたら、きっといい気はしないものね」
その状況でラシェルがキスを拒んだので、嫉妬心が抑えきれなくなったということなのかもしれない。こんなにも嫉妬深い人だとは思わなかったと考えつつ、彼のことをまだ全然知らないのだと突きつけられたようで少し落ち込んでしまう。
「……もしもレナルド様の記憶が戻ったら、今日のことはどう思うのかしら」
ふとそんなことが頭の中に浮かび、ラシェルはぽつりとつぶやく。
もともと愛してもいないラシェルが別の男性と一緒にいたところで、以前のレナルドなら表情ひとつ変えなかっただろう。むしろ、侯爵家に相応しくないふるまいはするなと叱責されたかもしれない。
「そうよ、今日のことだけじゃないわ。お飾りの妻でしかないはずの私が、レナルド様の記憶がないのをいいことに、愛されていたなんて事実をでっち上げたようなものだもの。そんなの、記憶が戻ったら嫌われる要素しかないわ」
深くため息をついて、ラシェルはこのまま浴槽に沈んでしまいたい気持ちになる。
湯に浸かりながらラシェルは、あらためてレナルドが豹変した理由を考え込む。
妻を愛していると思い込んでいるレナルドは、ラシェルが別の男――セヴランと一緒にいるところを見て嫉妬したのだろうか。
「私だって、レナルド様が誰か知らない女性と一緒にいるところを見かけたら、きっといい気はしないものね」
その状況でラシェルがキスを拒んだので、嫉妬心が抑えきれなくなったということなのかもしれない。こんなにも嫉妬深い人だとは思わなかったと考えつつ、彼のことをまだ全然知らないのだと突きつけられたようで少し落ち込んでしまう。
「……もしもレナルド様の記憶が戻ったら、今日のことはどう思うのかしら」
ふとそんなことが頭の中に浮かび、ラシェルはぽつりとつぶやく。
もともと愛してもいないラシェルが別の男性と一緒にいたところで、以前のレナルドなら表情ひとつ変えなかっただろう。むしろ、侯爵家に相応しくないふるまいはするなと叱責されたかもしれない。
「そうよ、今日のことだけじゃないわ。お飾りの妻でしかないはずの私が、レナルド様の記憶がないのをいいことに、愛されていたなんて事実をでっち上げたようなものだもの。そんなの、記憶が戻ったら嫌われる要素しかないわ」
深くため息をついて、ラシェルはこのまま浴槽に沈んでしまいたい気持ちになる。