塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
結婚してからの一か月あまり、どれほどラシェルに冷たくあたったかを思い出すと後悔で叫び出しそうだが、レナルドは一から関係を築きなおしていこうと決めた。
記憶を取り戻したことを隠しながら、レナルドは何度もラシェルに想いを伝えた。好きだと告げ、抱きしめてキスをする。その全てを、ラシェルは笑って受け入れてくれる。彼女が心の中で何を思っているのかは分からないが、生理的に受けつけないほど嫌われているのではないのだろう。それだけが、レナルドの救いだった。
甘い触れあいを繰り返せば、レナルドの身体はどうしても昂ってしまう。愛する人ともっと深く繋がりたいという欲望と共に、頭の中に浮かぶのはラシェルとの初めての夜のこと。
形だけの結婚だと伝えていたし、無理に行為をする必要はないと思っていた。ラシェルだって好きでもない男に抱かれるのは嫌だろうし、レナルドとしてもただそばにいてくれればそれでよかった。対外的には仲睦まじい夫婦だとアピールする必要があるし、レナルドも余計な女性問題を寄せつけないために、外ではそうふるまうつもりだった。
とはいえ夫婦の寝室で何があったかなんて、わざわざ言わなければ誰にも分からない。だから一緒に眠るだけで充分だと思っていたのだ。
だが使用人が余計な気を回したのか、ラシェルは扇情的な下着姿で待っていた。一目見ただけで身体が熱くなったが、必死に視線を逸らして涼しい顔を保つ。それなのにラシェルは、これは自分の意志だと言ってレナルドに行為をねだった。
もちろん彼女としても妻としての役目をこなすための申し出だったのだろうが、ずっと想いを寄せていた人に誘われて断れるほど、レナルドは強い理性を持ちあわせていなかった。