塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
だがセヴランの手は、鎖骨あたりに触れた状態で止まった。おずおずと目を開けると、彼はラシェルの肌を凝視しながらぶるぶると震えていた。その視線の先をたどったラシェルは、胸元にまだ残る赤い痕に気づく。噛み痕は大分薄くなったが、それでも先日レナルドに散々吸いつかれた痕はまだ残っている。隠すために首元の詰まったドレスを着ていたのだが、ボタンを引きちぎられたことで露出した肌には、首筋から胸元にかけて点々と赤い痕が肌に浮かんでいた。
「……くそっ、あいつ……こんな、見せつけるような真似しやがって」
「痛……っ」
まるで痕を消すように指先で強く肌を擦られて、ラシェルは悲鳴をあげる。もちろんそんなことで痕が消えるはずないのだが、セヴランは忌々しげに唸った。
「おまえは、おれのものになるんだ。あいつのことなんて、全部忘れさせてやる……!」
「ぃやっ、あなたのものになんて、絶対にならない! 私は、レナルド様のことが……っ」
「黙れ! ずっと前から、おまえはおれのものなんだよ。おまえも、おれのことが好きだったはずだ。それをあいつが横から奪って、自分を好きだと洗脳したに違いない」
「……っ、あなたを好きだと思ったことなんて、一度もない。大嫌いだわ! 私が好きなのは……そばにいたいと思うのは、レナルド様ただ一人だもの!」
叫ぶように言うと、セヴランの顔が歪んだ。ラシェルをにらみつけて見下ろすその顔には、もう憎しみしか浮かんでいない。
「黙れ黙れ黙れ……! 媚薬でおまえをめちゃくちゃにして、二度と余計な口をきけないようにしてやる」
セヴランは震える手を伸ばし、ベッドサイドの棚から小さな瓶を取り出した。真っ赤な液体が、血のように見えて禍々しい。
「……くそっ、あいつ……こんな、見せつけるような真似しやがって」
「痛……っ」
まるで痕を消すように指先で強く肌を擦られて、ラシェルは悲鳴をあげる。もちろんそんなことで痕が消えるはずないのだが、セヴランは忌々しげに唸った。
「おまえは、おれのものになるんだ。あいつのことなんて、全部忘れさせてやる……!」
「ぃやっ、あなたのものになんて、絶対にならない! 私は、レナルド様のことが……っ」
「黙れ! ずっと前から、おまえはおれのものなんだよ。おまえも、おれのことが好きだったはずだ。それをあいつが横から奪って、自分を好きだと洗脳したに違いない」
「……っ、あなたを好きだと思ったことなんて、一度もない。大嫌いだわ! 私が好きなのは……そばにいたいと思うのは、レナルド様ただ一人だもの!」
叫ぶように言うと、セヴランの顔が歪んだ。ラシェルをにらみつけて見下ろすその顔には、もう憎しみしか浮かんでいない。
「黙れ黙れ黙れ……! 媚薬でおまえをめちゃくちゃにして、二度と余計な口をきけないようにしてやる」
セヴランは震える手を伸ばし、ベッドサイドの棚から小さな瓶を取り出した。真っ赤な液体が、血のように見えて禍々しい。