塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
「その借金だって、おまえが仕組んだことだろう。医者を脅して借金をでっち上げたことも、覚醒効果のある薬を横流しさせて売り捌いていたことも知っている。全部調べはついてるんだ。おまえを捕えるために、今ここに騎士団が向かってる。もう終わりなんだよ、セヴラン・ノディエ」

 低い声で断言されて、セヴランは信じられないといった様子で目を見開く。

「嘘だ……」

 掠れた声でセヴランが否定するが、レナルドは嘘ではないと繰り返す。

 ラシェルを連れ去った時にいた男たちは、セヴランが悪事を働く際の仲間なのだという。彼らとつるんで強盗まがいのことをしたり、若い平民の女性を襲ったりしていたらしい。セヴランの持っていた媚薬がどのように使われたのかを想像して、ラシェルは顔を歪めた。
 ここはセヴランの所有する別荘で、仲間たちのたまり場になっていたらしい。

 ラシェルを連れ込んだあと、男たちに周囲の見張りを命じていたようだが、すでにレナルドが全員捕縛済みだという。
 
 それでもセヴランは現実を受け止めきれないのか、青ざめた顔で首を横に振る。

「だっておれは貴族だ。伯爵家の跡継ぎだぞ。そんな簡単に捕えられるはずがない……っ」

 この期に及んでそんなことを言うセヴランを見て、レナルドは呆れたようにため息をついた。 

「今までは隠れてうまくやっていたつもりだろうが、おまえの罪は全て明らかになっている。ノディエ伯爵にも、この件は報告済みだ。伯爵は責任を取って爵位の返上を申し出ているし、おまえは勘当されるだろうな」

「嘘だ、そんな……。このおれが、平民落ち……?」
< 150 / 167 >

この作品をシェア

pagetop