塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
「昔、お守りにと押し花の栞をくれただろう。今もここに持ってる。そのおかげで、俺は騎士になれた。あの時からずっと、俺はラシェルだけにこの想いを捧げてる」
「えっ、嘘……?」
ラシェルの頭の中に、幼い日の記憶がよみがえる。騎士になりたいと語る少年の夢を応援して、お守り代わりにと栞を手渡した時のこと。あれがレナルドだったなんて。
驚きに目を瞬くラシェルをレナルドは穏やかな表情で見つめている。だが結婚してから今日まで、レナルドはそんなこと一度も口にしなかった。今も栞を持っていてくれるくらいなのに、どうして彼はラシェルにそれを言ってくれなかったのだろう。
それをレナルドに問おうとした時、部屋の外が騒がしくなった。どうやら騎士団が到着したらしい。ラシェルたちのいる部屋にも、数人の騎士が入ってきた。先頭にいる人物に見覚えがあると思ったら、以前に病院で出会ったユーグだった。彼は笑顔で手を振りながら駆け寄ってくる。
「派手にやったねぇ、レナルド」
レナルドが蹴破った扉を指差しながら、ユーグは苦笑する。
護衛からラシェルがセヴランに連れ去られたとの報告を受けて、レナルドは全てを放って飛び出してきたらしい。慌てて隊を指揮してユーグがここまで追いかけてきてくれたようだ。
「……すまん、とにかく必死で」
「まぁ、最愛の人の危機となれば仕方ないことだよ。夫人が無事で何よりだ」
ユーグはレナルドの肩をぽんと叩くと、捕縛されたセヴランを連れていくよう他の騎士に命じた。
濁った目をしたセヴランは、ぶつぶつと何かをつぶやいている。何度も「自分は悪くない」と言っているのが、ラシェルにも微かに聞こえた。
「えっ、嘘……?」
ラシェルの頭の中に、幼い日の記憶がよみがえる。騎士になりたいと語る少年の夢を応援して、お守り代わりにと栞を手渡した時のこと。あれがレナルドだったなんて。
驚きに目を瞬くラシェルをレナルドは穏やかな表情で見つめている。だが結婚してから今日まで、レナルドはそんなこと一度も口にしなかった。今も栞を持っていてくれるくらいなのに、どうして彼はラシェルにそれを言ってくれなかったのだろう。
それをレナルドに問おうとした時、部屋の外が騒がしくなった。どうやら騎士団が到着したらしい。ラシェルたちのいる部屋にも、数人の騎士が入ってきた。先頭にいる人物に見覚えがあると思ったら、以前に病院で出会ったユーグだった。彼は笑顔で手を振りながら駆け寄ってくる。
「派手にやったねぇ、レナルド」
レナルドが蹴破った扉を指差しながら、ユーグは苦笑する。
護衛からラシェルがセヴランに連れ去られたとの報告を受けて、レナルドは全てを放って飛び出してきたらしい。慌てて隊を指揮してユーグがここまで追いかけてきてくれたようだ。
「……すまん、とにかく必死で」
「まぁ、最愛の人の危機となれば仕方ないことだよ。夫人が無事で何よりだ」
ユーグはレナルドの肩をぽんと叩くと、捕縛されたセヴランを連れていくよう他の騎士に命じた。
濁った目をしたセヴランは、ぶつぶつと何かをつぶやいている。何度も「自分は悪くない」と言っているのが、ラシェルにも微かに聞こえた。