塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
「ですから、初夜こそしっかりとこなすべきだと思います」

「きみはそれでいいのか? 好きでもない男に抱かれるんだぞ」

 真剣な表情で問いかけてくるレナルドに、ラシェルは微笑んだ。好きでもない人を抱かねばならないのはレナルドの方なのに、彼は自分のことよりもラシェルのことを気にかけてくれる。

「この結婚をお受けした時から、分かっていたことです。いずれ跡継ぎを産む必要だってあるわけですし、私は全然嫌じゃありませんから大丈夫です」

 むしろ初恋の人に初めてを捧げられることが嬉しいくらいなのだ。もちろん、それを彼に告げるつもりはないけれど。

「本当に……いいのか」

「えぇ、もちろんです」

 動じないラシェルに覚悟を感じ取ったのか、レナルドはごくりと唾を飲み込むとラシェルが腰かけるベッドのそばにやってきた。

 黙ったままレナルドが軽くラシェルの肩を押す。抵抗せずに身を任せたラシェルの身体は、ゆっくりとベッドの上に倒れた。

「やっぱり嫌だと言うなら、今が最後のチャンスだ、ラシェル嬢」

「い、嫌じゃない……です。だけど……」

「だけど?」

 軽く首をかしげたレナルドを見上げて、ラシェルは震える唇を必死に動かす。
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