塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
「ありがとう。では、今すぐ出発しましょう」
有能な執事に感謝して、ラシェルはコレットに本の片付けと書庫の戸締りを頼むとクレマンと共に玄関へと向かった。
用意された馬車は、ラシェルを乗せると勢いよく走り出す。猛スピードで流れていく窓の外の景色も、ちっとも目に入らない。身体の震えはずっと止まらなくて、ちょっと気を抜くと動揺のあまり泣き出してしまいそうだ。
馬車の中で、ラシェルは祈るように両手を組み、強く唇を噛みしめていた。
王立病院へ着いて受付で名前を告げると、すぐにレナルドの病室はこちらだと案内された。あらかじめクレマンが、ラシェルが訪ねることを連絡しておいてくれたのだろう。執事の気遣いをありがたく思いながらも、ラシェルは病院の廊下を急ぐ。
外科棟の個室の前には、騎士服を着た男性の姿があった。襟元につけられた階級章がレナルドと同じものであることから、同僚騎士だろうかとあたりをつける。彼もラシェルの姿を確認して、ハッとした顔になった。
「もしかして……レナルドの奥様ですか」
「はい。ラシェル・ヴァンタールと申します」
「やはり。僕は、同じく騎士団で第七隊隊長を努めております、ユーグ・クラヴリーと申します」
レナルドは第五隊の隊長職だと聞いているから、彼は同期の騎士なのだろう。人前でヴァンタールを名乗るのは初めてだが、そんな感慨にふける余裕もない。ラシェルは落ち着かない気持ちでユーグの顔を見上げた。
「それであの、レナルド様は」
ラシェルの切羽詰まった様子を見て、彼は安心させるように微かな笑みを浮かべた。
「ご安心ください、命に別状はないそうです。今、医師が詳しく診察をしているところです」
「よかっ……た……」
有能な執事に感謝して、ラシェルはコレットに本の片付けと書庫の戸締りを頼むとクレマンと共に玄関へと向かった。
用意された馬車は、ラシェルを乗せると勢いよく走り出す。猛スピードで流れていく窓の外の景色も、ちっとも目に入らない。身体の震えはずっと止まらなくて、ちょっと気を抜くと動揺のあまり泣き出してしまいそうだ。
馬車の中で、ラシェルは祈るように両手を組み、強く唇を噛みしめていた。
王立病院へ着いて受付で名前を告げると、すぐにレナルドの病室はこちらだと案内された。あらかじめクレマンが、ラシェルが訪ねることを連絡しておいてくれたのだろう。執事の気遣いをありがたく思いながらも、ラシェルは病院の廊下を急ぐ。
外科棟の個室の前には、騎士服を着た男性の姿があった。襟元につけられた階級章がレナルドと同じものであることから、同僚騎士だろうかとあたりをつける。彼もラシェルの姿を確認して、ハッとした顔になった。
「もしかして……レナルドの奥様ですか」
「はい。ラシェル・ヴァンタールと申します」
「やはり。僕は、同じく騎士団で第七隊隊長を努めております、ユーグ・クラヴリーと申します」
レナルドは第五隊の隊長職だと聞いているから、彼は同期の騎士なのだろう。人前でヴァンタールを名乗るのは初めてだが、そんな感慨にふける余裕もない。ラシェルは落ち着かない気持ちでユーグの顔を見上げた。
「それであの、レナルド様は」
ラシェルの切羽詰まった様子を見て、彼は安心させるように微かな笑みを浮かべた。
「ご安心ください、命に別状はないそうです。今、医師が詳しく診察をしているところです」
「よかっ……た……」