塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
慌てて彼の腕から抜け出ると、レナルドは少し不満そうな顔をしていた。まるで離れたくないとでも言いたげなその表情に、ラシェルは動揺を隠せない。
「っ、お疲れでしょうから、お部屋でゆっくりと休んでくださいませ」
「あぁ、そうだな。せっかくの休みだし、この際仕事のことはすっかり忘れてのんびりしようかな」
そう言って、レナルドはラシェルの腰にそっと手を回すと歩き出した。一緒に部屋へ行くつもりはなかったのだが、彼の手を拒絶するのも不自然だ。結局ラシェルは、そのまま歩き続けることになった。
レナルドの私室は、淡い色合いで揃えられたラシェルの部屋とは対照的に、ダークトーンの家具で統一された大人っぽい部屋だった。足を踏み入れるのは初めてなので、ついきょろきょろと室内を見回してしまう。
仲睦まじい夫婦であれば、この部屋で共に過ごすこともあるのだろうが、ラシェルとレナルドの間にそんな関係はなかった。もちろん、レナルドがラシェルの私室に訪ねてきたことも一度たりともなかった。この二つの部屋に繋がる夫婦の寝室だけが、二人きりで過ごした場所だ。
もう二度とこの部屋に入ることもないのだろうなと思いつつ、ラシェルはそっとレナルドの腕から離れた。部屋まで付き添ったのだから、あとはゆっくり休んでもらえばいい。
そう思っていたのだが、ソファに腰を下ろしたレナルドはラシェルを見ると笑顔で手招きをした。
「ラシェル、こっちにおいで」
「えっ」
思いがけない誘いに、ラシェルは戸惑って視線を泳がせる。彼がラシェルをそばに呼び寄せるなんて、信じられない。
部屋の扉の前に立ちつくすラシェルを見て、レナルドは少し眉尻を下げた。
「一緒に座るのは嫌? やはり俺がきみのことを忘れてしまっているせいかな」
「っ、お疲れでしょうから、お部屋でゆっくりと休んでくださいませ」
「あぁ、そうだな。せっかくの休みだし、この際仕事のことはすっかり忘れてのんびりしようかな」
そう言って、レナルドはラシェルの腰にそっと手を回すと歩き出した。一緒に部屋へ行くつもりはなかったのだが、彼の手を拒絶するのも不自然だ。結局ラシェルは、そのまま歩き続けることになった。
レナルドの私室は、淡い色合いで揃えられたラシェルの部屋とは対照的に、ダークトーンの家具で統一された大人っぽい部屋だった。足を踏み入れるのは初めてなので、ついきょろきょろと室内を見回してしまう。
仲睦まじい夫婦であれば、この部屋で共に過ごすこともあるのだろうが、ラシェルとレナルドの間にそんな関係はなかった。もちろん、レナルドがラシェルの私室に訪ねてきたことも一度たりともなかった。この二つの部屋に繋がる夫婦の寝室だけが、二人きりで過ごした場所だ。
もう二度とこの部屋に入ることもないのだろうなと思いつつ、ラシェルはそっとレナルドの腕から離れた。部屋まで付き添ったのだから、あとはゆっくり休んでもらえばいい。
そう思っていたのだが、ソファに腰を下ろしたレナルドはラシェルを見ると笑顔で手招きをした。
「ラシェル、こっちにおいで」
「えっ」
思いがけない誘いに、ラシェルは戸惑って視線を泳がせる。彼がラシェルをそばに呼び寄せるなんて、信じられない。
部屋の扉の前に立ちつくすラシェルを見て、レナルドは少し眉尻を下げた。
「一緒に座るのは嫌? やはり俺がきみのことを忘れてしまっているせいかな」