塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
「実は、お願いがあって伺ったのです」
「お願い……ですか?」
「えぇ」
うなずいたレナルドは、軽く身を乗り出した。それだけで更に彼の存在感が増した気がして、ラシェルは小さく息をのんだ。軽く斜めに流した前髪の下には凛々しい眉が見え、透き通るような緑の瞳が美しい。
思わず彼に見惚れていたせいか、ラシェルは彼の言葉にすぐ反応できなかった。
「俺と結婚してもらえませんか、ラシェル・ブラン男爵令嬢」
「えっ……?」
結婚とは本当にあの『結婚』だろうか。そもそも、何故彼がラシェルにそんなことを申し込んでくるのかが分からない。
引く手あまたの有能な若き侯爵と、今にも没落しそうな男爵家の娘。どう考えてもつりあうはずがないのだ。
ラシェルは目を丸くして、言葉を失った。
「あの、本気……ですか?」
失礼かと思いつつも震える声で問うと、レナルドはにっこりと笑ってうなずいた。
「えぇ、もちろん。冗談でこんな話をするわけがありません」
「それはそうでしょうけど……」
「突然の申し出で、困惑させてしまいましたね。実は、ブラン男爵家が少々お困りの事情を抱えていると知りまして。ラシェル嬢がこの話を受けてくださったなら、ヴァンタール家は金銭的な援助をお約束しましょう」
侯爵家にまで知られているということは、ラシェルの家が没落寸前であるのは、もう社交界全体に広まっているのだろう。今更失うものなどないので落ち込みはしないが、情けない気持ちはある。
そんなブラン男爵家にレナルドが手を差し伸べてくれるのは、何故なのだろうか。彼の目的は、何なのか。
ラシェルは小さく唾を飲み込むと、彼を見上げた。
「お願い……ですか?」
「えぇ」
うなずいたレナルドは、軽く身を乗り出した。それだけで更に彼の存在感が増した気がして、ラシェルは小さく息をのんだ。軽く斜めに流した前髪の下には凛々しい眉が見え、透き通るような緑の瞳が美しい。
思わず彼に見惚れていたせいか、ラシェルは彼の言葉にすぐ反応できなかった。
「俺と結婚してもらえませんか、ラシェル・ブラン男爵令嬢」
「えっ……?」
結婚とは本当にあの『結婚』だろうか。そもそも、何故彼がラシェルにそんなことを申し込んでくるのかが分からない。
引く手あまたの有能な若き侯爵と、今にも没落しそうな男爵家の娘。どう考えてもつりあうはずがないのだ。
ラシェルは目を丸くして、言葉を失った。
「あの、本気……ですか?」
失礼かと思いつつも震える声で問うと、レナルドはにっこりと笑ってうなずいた。
「えぇ、もちろん。冗談でこんな話をするわけがありません」
「それはそうでしょうけど……」
「突然の申し出で、困惑させてしまいましたね。実は、ブラン男爵家が少々お困りの事情を抱えていると知りまして。ラシェル嬢がこの話を受けてくださったなら、ヴァンタール家は金銭的な援助をお約束しましょう」
侯爵家にまで知られているということは、ラシェルの家が没落寸前であるのは、もう社交界全体に広まっているのだろう。今更失うものなどないので落ち込みはしないが、情けない気持ちはある。
そんなブラン男爵家にレナルドが手を差し伸べてくれるのは、何故なのだろうか。彼の目的は、何なのか。
ラシェルは小さく唾を飲み込むと、彼を見上げた。