蝶よ花よ、あこがれに恋して

桜庭さんは、アーティスト?


合鍵。それすなわち信頼の証。

約一年ほど控えめに推させてもらっていた推し。そんな推しに合鍵を託されるほど私は信頼を得た。まあ、ハウスキーパーっていう立場だけどさ?

それでも、その信頼に応えるためにも、成果で返事をしなければ。

ピカピカになったお部屋の写真をパチリとスマホで収め、桜庭さんへ送信する。

《清潔、キープしました!》

私の使命は桜庭さんの家の清潔感を保つこと。間違っても変な気は起こしてはならない。

ひと仕事終えて部屋の隅で腰を下ろした。桜庭さんが住まうマンションは向かいとはいえ私が住むマンションとは格式が違い、広さも違えばオートロックだしオール電化だしなんと言ってもエレベーター付き!

食事は外食か宅配、お弁当だと話していた通り、桜庭さんの家のキッチンは使用感がなく綺麗だ。キッチンを見ると使ってみたいとうずうずしてしまうのだけど、それが桜庭さんの家にもなると妄想スイッチがONになる。

桜庭さんが好きな料理ばかり用意したい。仕事帰りで疲れきった桜庭さんをお出迎えして「ただいま」「会いたかった」「癒して」なんて甘えられたいし、たっぷり甘やかしたい。そんな妄想が捗って、掃除が楽しいのなんの!

ごめんなさい、変な気、しっかり発生しちゃってます。

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