蝶よ花よ、あこがれに恋して
くたくたで疲れ果てているのに、一秒でも早く優しいベッドに疲れを受け止めて欲しいのに、マンションに向かう曲がり角で別れ話しているなんて、戦犯は誰だ……!と遠くで睨み付けたら推しだったので、あわてて目を輝かせた。

推しの彼女は当たり前に可愛くて、モデルかタレントさんなんじゃないかな?

そして、居合わせたからには素通りすることもできなくて、ゴミ捨て場の物陰に隠れることにした。

”さくらばさん“どんな字を書くのか分からないけれど、1番ポピュラーな桜庭を当て嵌める。

その間にも「なんですか、あれ!」「私以外にも恋人がいるってことですよね」「あの日、友達と飲んでるって言いましたよね!?」と、なかなか地獄なワードを叫ぶ彼女さんはさすがに治安が悪めだ。

「友達と飲んでたことに間違いはないけれど、そっちを信じたいなら信じれば」

さて、推しはどんな対応をするのかと伺っていれば、桜庭さんは疲れているのか、冷めた声で突き放しているではないか。ちょっと塩すぎる。

「……っ、もうちょっと必死に弁解とかしたらどうなんですか」

「なんで?俺、最初に言ったじゃん。本気にならないよって。それでも良いって言ったの自分だよね」

うわあ……極寒……!!

やめてあげて、もう少し温めてあげようよー……!

間近で聞く推しの修羅場程気まずいものはない。

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