蝶よ花よ、あこがれに恋して
けれども、リアルな彼がどんなに酷い態度を取っていようと、クズ発言を聞こうと、私の中の彼の評価が下がる感覚はなくて、というか絶対モテてるし、これでモテてなかったらおかしいし、こんなかっこいい人に遊ばれるんだったらそれでもいい!とさえ思う。

そしてそれは私が彼のことを単純に好きとか嫌いとかではなく、推しとして見ている証明でもあった。

そればかりか、常にイマイチな私の毎日を尊いものにしてくれてありがとう!という日々の感謝さえある。だから何も言わないし、滞りなく別れ話が終わるのを見守ります。

「別れます、さようなら!」

私の願いが届いたのか、しばらくすると別れると言い残して女の子は帰ってしまったし、あんなに可愛い彼女を推しは引き止めることもしなかった。

「(終わったのかなあ……)」

安堵してため息を落とす。



「こんばんは」



けれども、安堵なんて吹き飛んだ。目の前にキラキラのエフェクト付きの推しの笑顔が現れてしまって、瞬きを忘れてしまい、うっかり目の粘膜が乾燥しかけたからだ。

「こ、ここ、こんばんは!!」

推しに話し掛けられるという、不純な動機をしっかりと持ち合わせている私は、簡単な挨拶まで噛みまくる始末だ。
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