蝶よ花よ、あこがれに恋して
今この瞬間、家宝が増えた。このサインボールと、それから……。
「さっくん、俺には〜?」
「あるわけねえよ」
「幼なじみへの扱いが雑すぎる」
「は?冬稀を雑に扱ったこと、あった?」
「あるだろ普通に」
視界の絵面が強すぎて眩しいこの会話だ。これぞ圧倒的美の暴力だ。国宝級イケメン同士って、会話まで輝いてるんですね……??なんだか視界がぼやけて見えた。尊すぎて涙腺が緩くなったのか、涙が出てきた。いや、駄目だ。泣いてたまるか!まぶたの裏に焼き付けるのよ、心鈴!!
むぎゅっと頬を摘む。
「え、どうした」
私の奇行に冬稀さんが驚く。サングラスのせいで目は伺えないけれど、雰囲気がうっすらと引いている。
「私の寿命って明日ですっけ?」
「知らんけど、そうなの?」
冬稀さんは助けを求めるように、低い柵で遮られた先にいる桜庭さんへ訊ねる。
「駄目。死ぬな」
「分かりました!!桜庭さんのために生きます!!!」
「うん」
まるで忠犬のように手のひらを返せば「何この茶番」と冬稀さんは笑う。