蝶よ花よ、あこがれに恋して

「心鈴ちゃん、スマホある?」

悶々としていれば、お触れのように尋ねられ「はい!もちろん!」とスマホを差し出した。桜庭さんの言葉は最優先事項である。そんな桜庭さんは「カメラ起動して」と言うのですぐさまカメラアプリを開いた。

えっ……!?も、もしかして、桜庭さんとTokiさんの写真を撮ってくれる……!?!?

期待感が完ストしていれば、桜庭さんはなぜかそのカメラをTokiさんに渡す。

「冬稀、撮って」

とき、とって。

そう言いながら桜庭さんは私の肩を抱く。スタジアムの上部がザワついた気がしたのは、たぶん、気の所為。

「うわあ……」

Tokiさんの雰囲気がさらに冷めた気がしたけれど、桜庭さんは「撮れ」と、高圧的だ。何枚か撮影したけれど、撮影されるべきアイドルに撮影されているこの構図が理解不能で、ちゃんと笑えていたか分からない。

「えーっと、ご近所さん、俺とも撮ろう」

さらに、ファンクラブの抽選でもかなり倍率が高いとされている、Tokiとのツーショットをプレゼントされそうになって、心臓が止まりかける。

「エッ!?!?死罪では!?!?」
「心鈴ちゃん、こいつ無視でいいよ」
「無視!?!?死罪ですよ!!!」
「冬稀、死罪だって」
「私がです!!!!!」

私と桜庭さんのやり取りを見て、Tokiさんは終始楽しそうにしていた。
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