蝶よ花よ、あこがれに恋して


そして今の私は、私に課せられた“人気女子アナ風”の重荷よりも、桜庭さんとの1ヶ月記念の方が大事なのだ。

「( 負けられない戦いがここにある──……!!!)」

ちょうどその日はデイゲームが予定されていて、桜庭さんはもちろんチケットを取ってくれた。その後どちらかの家に向かうのがいつもの流れだ。今日は私のお家に誘うつもりである。なので、いつにも増してドキドキしている。なお、お家でまったりするのは決まって私のお家なので、さほど緊張もしない。

なぜ毎回私の家なんですか?と桜庭さんに尋ねたことがある。五階分の階段を昇降する、そんな労力を使わせるのが毎回申し訳なくて、今度は桜庭さんの家にしましょうと隙を見て提案する為だ。すると桜庭さんは言った。

『心鈴ちゃんの家が好きだから』

私の家が好きなら仕方ないか!

あっさりと納得しかけて、踏みとどまる。

『でも、たまには、私も桜庭さんの家に行きたいんですよ?』

負けじと頼み込んでみると、桜庭さんはしばらく考え込み、

『心鈴ちゃんが俺の家に服とか荷物とか置いてくれるなら考える』

と、譲歩した。

『(……なぜ?)』

桜庭さんの家に私の荷物を置くなら、半同棲、みたいなことになりません???
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