腐女子なのでBLゲームの脇役に転生したのに、なぜか主人公もろとも巻き込んだ逆ハー展開が始まって鬱です!
菜花のキャラクター性のことなど考え及ばず、幼なじみ=美味しいポジションという先入観だけで即座に転生対象を決めてしまったのは少々安直だっただろうか。
(どうせなら、男子校のクラスメイトのモブとかに転生しておくんだったわ)
なんて薄っすらとした後悔がちらつくも、なってしまったものは仕方がない。
「お、おお。そうだよな。急いでたのに悪かった!気を付けて学校行けよ」
「ありがとうございます。では失礼します!」
若干ばつが悪そうに苦笑する政臣に愛想良く微笑み、まだ落ち着かない素振りの夕璃の手首をぎゅっと掴んだ。
「な、菜花ちゃん……っ」
相変わらず純情100%の彼にはその程度の触れ合いすらも刺激が強かったようで、見る見るうちに色白な肌がピンク色に染まっていく。
(クソ、可愛いな)
そんな夕璃を見て、どちらが男なのかわからなくなるような感想を脳内で吐き捨てる。
「なあ、お二人さん。名前は?」
「はい?」
そこで予想外に降ってきたのは、先ほど全ての会話が終了したと踏んでいた相手――政臣の声だ。
「なんとなくだけど、またお前らとは顔合わせることになる気がするんだよな、俺。あ、もしかして聖翔受けてたりする?」
彼はそう続けながら白い歯を見せて笑うものの、あたしは微妙に引き攣った笑みを返すしかない。
これも一種の、攻略対象だけが持つ波長みたいなものなのだろうか。
「あ、僕、瑞波夕璃っていいます。実はその、4月から聖翔に通う予定です!」
「お、マジか!未来の後輩だったとはな!」
あたしの複雑な心理を知る由もなく、爛々と輝く丸い瞳を向けてその問いに夕璃が答える。
対する政臣もまさかの返答に驚きと喜びの入り混じった反応を見せ、二人は意気投合したように笑い合っていた。
そんな彼らとは裏腹に、ついさっき知り合ったばかりの初対面の相手に、警戒心の欠片も持たず白状してしまう夕璃のピュアさに、やれやれと半ば失笑してしまうあたし。
そんなところも可愛いけれど、無防備すぎて心配になる。
こんな状態で、性に飢えた男色社会となり得る男子校(偏見)でやっていけるのだろうか。
入学早々に狼男子にパクリ、なんてことにならなければいいのだが、あたしという異分子的要素が絡んでか、若干の改変も起こっているようなので、正直その心配は尽きない。
「せめてあたしが同じ高校に通えてれば……」
そうして無意識のうちに吐露してしまった私の一言が引き金となったのか――ゲームの内情を知るあたしですら予想だにしなかった想定外の事態が起こったのは、そのすぐ後のことだった。
「……!でも菜花ちゃん、聖翔も受かってはいるんだよね?その、天鳳院に通うつもりだとは思うけど」
「――――え?」
夕璃は、思わず振り返ったあたしを見て、キョトンとした顔で首を傾げる。
(今、この子、なんて言った……?)