腐女子なのでBLゲームの脇役に転生したのに、なぜか主人公もろとも巻き込んだ逆ハー展開が始まって鬱です!
結局、先生は終始、突然のあたしの心境変化に困惑しきっていたけれど。
それでも反対することはなく、あたしの決定を受け入れてくれた。
「本当、今日はびっくりしたよ。まさか菜花ちゃんが聖翔に進路変更してくれるなんて思わなくて」
「夕璃は、高校生活もあたしと一緒じゃ嫌……?」
「えっ……!そ、そんなこと!そんなわけ、ないよっ!!」
職員室を後にし、教室に向かうまでの廊下を並んで歩くあたしたち。
余程衝撃的だったのか、一貫して表情の晴れない夕璃に対し、
(もしかして夕璃、あたしと同じ高校は嫌だったのかも……)
些細な不安がよぎり、あたしはそのまま率直に彼の言葉の真意を尋ねてしまっていた。
するとその場で歩を止めた夕璃は、慌てたようにぶんぶんと左右に顔を振ってそれを否定する。
(なんだか、逆に気を遣わせてしまったかも)
そんな彼の振る舞いを目の当たりにし、結果的に自責の念に駆られていては確認の意味がないのだが。
「でも、本当に良いの?だって、天鳳院には……」
誤魔化すように話題を塗り替えた夕璃に、あたしは再度首を傾げて続く言葉を待機する。
「阿木津先輩が言ってた研究者の先輩――日ノ出香さんがいるんだよね?」
目線を下げて顔色を曇らせる彼に、「ああ……」なんとも煮え切らない反応を示してしまった。
残念ながら、その“日ノ出先輩”やら“研究”やらに関する具体的な情報を持ち合わせていない今のあたしには、適した返しが浮かんでこない。
「僕としては、菜花ちゃんと一緒に卒業後も聖翔に通えるならすごく嬉しいけど、おじさんとおばさんにはちゃんと話した方がいいと思うし……。いつも通ってるおじさんの研究室、今日も行くならちゃんと相談した方がいいと思う」
「あ、はい」
(夕璃ってこんなにしっかりしてる子だったのね……)
その場の勢いで唐突に進路変更を強行した元肉体年齢25歳のあたしよりもちゃんとしてる気がする。
(お父さんの研究室、ね)
人知れず、あたしの中ではその位置と詳細が脳内のイメージ図として展開されていく。
仕事熱心というと聞こえは良いが、あまり家庭を顧みることなく国家機関という最高峰の環境下で研究に打ち込んでいるあたしの父親。
まだ会ったこともないし、前世のゲーム上でもほとんど記憶にすら残っていない無名のキャラだ。
(菜花が携わっていた研究というのも少し気になるし……)
あたしはその日の放課後、父親が勤めるという噂の研究室を実際に訪問してみることにした。